すべての新車に「自動ブレーキ」が搭載義務化へ! 既存車は対応が必要?
- トリビア
- 2022.01.25
2020年の1月に公布され、2021年の11月からスタートした「衝突被害軽減ブレーキの義務化」。2021年11月以降に国内で発売される新型車には衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の搭載が必須となりました。制度やAEBSの概要、そして新型車以外の車で対応が必要になるのかを解説します。
目次
衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)とは
「AEBS」は「Advanced Emergency Braking System」の頭文字を取った略語で、自動車に搭載されたカメラやセンサーなどを使って進行方向に存在する人や自動車、障害物を察知し、自動的にブレーキを作動させ衝突を回避する仕組みです。ブレーキのほか、ドライバーに衝突の危険を知らせたり、ハンドル操作に介入して回避動作をサポートする機能と組み合わさったものもあります。自動車メーカーごとに名称は異なりますが、AEBSの開発・性能向上に各社はしのぎを削り安全な運転を支える重要な機能となっています。
国土交通省では2種類の「AEBS認定制度」を設けています。制止車両および時速20km以下で走る車両を検知する機能を搭載した自動車が認定を受けられる「AEBS」と、車両検知に加えて歩行者を検知して衝突を回避する機能も合わせて搭載した自動車が認定を受ける「AEBS2」の2種類があります。
国土交通省の調査(令和2年「ASV技術普及状況調査」)では、2020年の衝突被害軽減ブレーキ装着率は、同年の総生産台数の約91.5%にのぼり、すでにほとんどの新車では搭載が進んでいます。今回の義務化によって、搭載率100%への道筋が明確になったといえます。
「自動ブレーキ」義務化対象となる自動車とスケジュールは?
2021年11月から衝突被害軽減ブレーキ搭載が義務化されたのが「国産車の新型車」です。その後のスケジュールと対象車は以下のようになっています。
- 2021年11月〜:国産車のうち新型車(軽自動車も含む)
- 2024年7月〜:輸入車のうち新型車
- 2025年12月〜:国産車の継続生産車(軽トラックを除く)
- 2026年7月〜:輸入車の継続生産車
- 2027年9月〜:国産車(軽トラック)の継続生産車
2025年(令和7年)の12月からは軽トラック以外の国産乗用車の新車に、2026年(令和8年)の7月からは輸入される新車すべてに、そして約5年半後には軽トラックも含めたすべての新車に衝突被害軽減ブレーキが搭載されることになります。
既存車の対応は? 「自動ブレーキ」未搭載の車はどうなる?
今回、義務化の対象となったのは新型車のため、すでに販売されている既存車は対象外となっています。現状では衝突被害軽減ブレーキは後付けができないため、既存車が義務化にともなって行うべき対応はなく、衝突被害軽減ブレーキ未搭載の既存車を運転し続けるのも問題ありませんし、また、慌てて搭載車に買い替える必要もありません。
「自動ブレーキ」搭載とはいえ、過信は禁物!
今後、新車の衝突被害軽減ブレーキの搭載率が100%になり、ドライバーはより安心して運転できるようになるでしょう。しかし、衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援装置はあくまでも「安全運転の支援」という位置付けです。
危険を回避し事故を防ぐためには、運転支援装置の機能が現在よりも向上したとしても、過信せずにドライバー自身が安全運転を心がけることが欠かせません。タイヤをはじめとする自動車各部のメンテナンスやチェックを忘れずに行い、これからも事故を未然に防ぐよう心がけましょう。