内閣府の中央防災会議によると、東海地方におけるマグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率は70%~80%、関東地方ではマグニチュード7クラスの地震の30年以内の発生確率は約70%といわれています。
いつか来るとは分かってはいるものの、いつ起こるかわからないのが地震です。家の中で地震に遭遇するとは限りません。運転中や外にいる時に地震に見舞われる可能性も大いにあります。もし、自動車に給油中、ガソリンスタンドにいる時に地震が来たら、あなたはどうしますか? すぐそこから避難…しなくていいのです! その理由を紹介しましょう。
ガソリンスタンドの耐震性は、一般の建物よりも高い!
ガソリンスタンドで地震に遭うことを想像すると、ガソリン漏れの心配やガソリンへの引火で火災や爆発が起こるのでは…と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ガソリンスタンドは、実は安全度が高い場所なのです。
ガソリンスタンドは、消防法による厳しい基準をクリアしているため、一般的な建物よりも耐震性・耐火性が優れており堅牢です。給油所の周囲で火事が発生しても地下のガソリンタンクには引火しない構造となっています。
それを証明するように、1995年の阪神・淡路大震災でも致命的な損壊を起こしたガソリンスタンドはありませんでした。ガソリンスタンド自体も燃えにくく、さらにその防火壁が火災が広がるのを食い止めたといった現象が数多く見られたそうです。さらに、2004年に新潟県で発生した中越地震でもガソリンスタンドの被害が少なかったといわれています。
避難場所の役割を担うガソリンスタンドも
耐震性や耐火性に優れているだけでなく、多くの地域のガソリンスタンドでは消防署の救急救命講習修了者がスタッフとして配置されています。
災害発生時には、避難が必要な方や、帰宅が困難な人のために、ガソリンスタンド内のサービスルームを避難所として開放してくれる地域も。つまりガソリンスタンドが避難所の役割を担っているのです。
1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災の発生時、また千葉県で大規模停電が発生した2019年の台風15号による被災時など、すぐに営業できないガソリンスタンドがあったり、営業を再開できたガソリンスタンドに長蛇の列ができてしまったり、供給不足によりガソリンの販売制限を行わざるを得なかったケースがありました。この経験を教訓に、災害などで停電になっても給油ができるように、自家発電設備を持つ「住民拠点SS」の整備が進められています。
そのような中で、2018年9月の北海道胆振東部地震が起き、停電の中でも自家発電設備を持つ「住民拠点SS」は実際に営業を維持できたのです。
このように、ガソリンスタンドは災害時にも私たちの生活に不可欠なガソリンや軽油を安定的に供給できる態勢を整えており、被災者の救援と被災地域の早期復興に役立っています。
あなたの近所の「住民拠点SS」を調べておこう!
「住民拠点SS」は、2019年3月31日現在で全国に3,498ステーションが配備されており、2020年度までに、8,000ステーションが整備される予定です。
お近くの「住民拠点SS」は経済産業省の資源エネルギー庁のWebサイトで公開されていますので、ぜひ確認してみてください。
また、全国の38都道府県の石油組合は、自治体との災害時協力協定等を締結しており、ガソリンスタンドは災害の時の強い味方だと覚えておきましょう。
知っておくことで、もしもの時に守れる命があるかもしれません。そして、災害時だからこそ、少しでも適切な判断ができるよう、正しい知識を持って備えておきたいものですね。