夏場の運転中、車内がなかなか冷えないと感じたことはありませんか? カーエアコンの効きの悪さにはさまざまな原因が考えられますが、その中の一つが「エアコンガスの不足」です。
この記事では、クルマのエアコンガス補充の基礎知識から、自分で行う際の注意点、プロに依頼するメリットまで詳しく解説していきます。
目次
クルマのエアコンガスに補充が必要な理由

カーエアコンのシステムは基本的に密閉されており、理論上はガスが減ることはありません。しかし家庭用エアコンと違い、クルマは常に振動にさらされているため、長年の使用で劣化した配管の接続部分などから少しずつガスが漏れることがあります。
そもそもカーエアコンの仕組みは、エアコンガスを液体と気体に変化させる過程で熱を吸収・放出することによって、車内の空気を冷やしています。このガスが減少すると冷却効率が落ち、「エアコンの効きが悪い」と感じるようになるのです。
エアコンガスの補充目安は約7~10年
一般的に、カーエアコンのガス補充が必要になるのは、クルマの使用開始から約7~10年程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、クルマの使用状況や保管環境によって実際の補充時期は大きく異なります。
例えば走行距離が長いクルマであればその分ガスが漏れやすい傾向にありますし、砂利道を頻繁に走行するクルマは飛び石で配管が傷ついてそこからガスが漏れることも考えられます。使用期間にかかわらず、定期的なプロのメンテナンスを受けることをおすすめします。
クルマのエアコンガスの残量を確認する方法
エアコンガスの残量を自分で確認する簡単な方法として、「サイトグラス」があります。これは小さな窓のようなパーツで、エアコンガスの流れを簡単に目視で確認できます。
エンジンをかけたらエアコンを最大出力で作動させたうえでボンネットを開け、サイトグラスの状態を確認します。気泡がほとんど見えない場合は適正量、気泡が多く濁って見える場合はガス不足の可能性があります。
サイトグラスが装備されていない車種の場合は、専用の圧力計で測定するかプロに依頼する方法があります。
補充するのに必要な道具
カーエアコンのガスを自分で補充する場合に必要な道具は主に以下の4点です。
- お使いの車種に適合したエアコンガス缶
- ガスチャージホース
- マニホールドゲージ(より正確な圧力測定用)
- 保護用グローブ
これらの道具は一般的なカーショップで購入できますが、作業にはある程度の知識と経験も必要です。
エアコンガスを補充する手順
エアコンガス補充の基本的な手順は次の通りです。
- エアコンガス缶にバルブを取り付ける
- ホースをクルマの低圧側ポート(「L」表示)に接続する
- ホース内の空気を抜く
- エンジンをかけ、エアコンを最低温度・最大風量に設定する
- ガス缶のふたに穴を開け、エアコンガスを注入する
- 圧力計で適正レベルになっていることを確認する
補充してもまたすぐにガス漏れしてしまう場合や、エアコンの効きが改善しない場合、コンプレッサーなどのエアコンまわりのパーツが故障している可能性があります。すみやかにプロの点検を受け、修理・交換を依頼しましょう。
自分で補充するときの注意点
現在製造されているカーエアコンガスは主に「R134」と「R1234yf」の2種類です。「R1234yf」は比較的新しい環境配慮型の冷媒で、近年の車種に採用されています。
クルマに使用されている冷媒の種類は、エンジンルーム内に貼られているステッカーや説明書などで確認できます。誤った種類のガスを充填すると故障や性能低下の原因となるため、必ず車種に適合した冷媒を選びましょう。また、ガスの過充填も圧力上昇によるトラブルの恐れがあるため、適正量を守ることが大切です。
もし補充し終わってガスが余ったら
カーエアコン用冷媒ガスは「フロン回収・破壊法」により適切な処理が義務付けられています。余ったガスや使用済みのガス缶は、一般ゴミとして廃棄できないので注意が必要です。自治体の指示に従い、各地域の回収業者に引き取ってもらうようにしましょう。
安全性重視ならプロに依頼するのが確実

エアコンガスの補充は一見簡単に思えますが、方法を誤るとケガや故障につながる危険があります。安全性や使用済みガス・ガス缶の処分の手間などを考えると、ガソリンスタンドやカーショップ、整備工場などのプロに依頼することをおすすめします。
まとめ
クルマのエアコンガスは、7~10年程度を目安に補充が必要になる場合があります。サイトグラスでの確認や冷房の効き具合から判断し、適切なタイミングで補充しましょう。
なお、エアコンガスは自分で補充することも可能ですが、高圧ガスを扱う危険性や適正量の判断の難しさ、使用済みガスの処理などを考慮すると、専門店に依頼するのが安心です。カーエアコンを正しくメンテナンスして、快適な車内環境を保ちましょう。