「オーバーヒート」といえば、よく耳にする車のエンジントラブルのひとつ。自動車のエンジンが過熱状態になり、動作不良を起こしている状態のことを指します。エンジン内で燃料を燃焼させて動力を生み出す際、高温になったエンジンの冷却が追い付かなくなることによってオーバーヒートが発生します。
今回の記事では、車のオーバーヒートの症状や原因、対処法などについて解説します。
目次
オーバーヒートの症状とは?
オーバーヒートが起こると、水温計の表示がレッドゾーンまで上がったり、マルチインフォメーションディスプレイに警告が表示されたり、スピードが低下するなどの症状が見られます。さらに症状が進行すると、高温でパーツがゆがむことによるガスケット破損や、金属部品の焼き付きを起こすケースもあります。
オーバーヒートの前兆
オーバーヒートには、いくつかの前兆があります。ここでは代表的なものを3つ見ていきましょう。
- 水温計が高温を指し始める
オーバーヒートが起こるとき、真っ先に変化するのが水温計です。針が通常の位置から「H」寄りに動いている場合は、冷却系に不具合があるサインです。
- 走行時の違和感
「スピードが出にくい」「エンジンの回転数が安定しない」などの違和感があったら要注意。必ずしもオーバーヒートが原因とは限りませんが、ほかの部分の様子も見ながら原因の特定を急ぎましょう。
- エンジンからの異音や異臭
「キンキン」や「キーキー」といった甲高い金属音は危険信号です。また、冷却水が漏れて甘い匂いがすることもあります。
これらの初期症状に気づいたら、すみやかにプロの点検を受けましょう。早い段階での対処がエンジンの損傷を最小限にとどめ、修理費用を抑えるカギとなります。
オーバーヒートを起こす原因
オーバーヒートを引き起こす原因はさまざまですが、主に以下のものが挙げられます。
冷却水の漏れや不足
冷却水が漏れたり不足したりしていると、エンジンの冷却機能が低下します。
ウオーターポンプの不具合
ウオーターポンプなどの冷却システムに不具合があると冷却水の循環が滞るため、オーバーヒートが起こりやすくなります。
エンジンオイルの不足や不具合
オイルも潤滑剤としてエンジンを冷やす働きがあるため、オイル不足や劣化、循環システムの故障などでもオーバーヒートの危険が高まります。
高負荷な運転
長い坂道での低速ギア走行や、渋滞時のノロノロ運転、猛暑日の長時間の運転など、高負荷な運転でもリスクが高まります。また、大雪の際にラジエーターの前面が雪で塞がれてオーバーヒートが起こるケースもあるので注意が必要です。
オーバーヒートが起きたらすべきこと
オーバーヒートが起きたら以下の方法で落ち着いて対処しましょう。
安全な場所に車を停める
まずは周囲の安全を確認し、ほかの車の邪魔にならない場所へ車を移動させて停車します。ハザードランプを点灯させ、パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPに入れます。
ボンネットを開ける
次にボンネットを開け、エンジンルームへ風が通るようにします。その際ボンネットやエンジンルームは高温になっているのでやけどにご注意ください。なお、冷却水を冷まそうとしてラジエーターキャップを開ける行為は熱湯が噴き出して大変危険です。エンジンが冷めるまでは絶対に触れないようにしてください。
基本的にはすぐにエンジンは切らない
エンジンを冷ましている間は、基本的にエンジンをかけたままにしておきましょう。エンジンを切ると、冷却水とエンジンオイルの循環が止まって温度がさらに上がる可能性があります。ただし、冷却ファンが止まっていたり、冷却水が漏れたりしている場合は、エンジンを停止させて自然冷却させましょう。
収まったあとの状況を確認し車を修理に出す
エンジンが冷えてきたら、リザーバータンクの冷却水量を確認し、不足していれば補充します。オーバーヒートが起きた時点で、車が何らかのダメージを負っている可能性が高いです。できるだけ早くロードサービスなどに連絡して車の状態を見てもらい、必要な修理・交換を行いましょう。
オーバーヒートを防止するには
オーバーヒートを防ぐためには、日頃からのメンテナンスが重要です。冷却水やエンジンオイルの量・状態をこまめにチェックし、水温計の変化にも注意しましょう。また、車に負荷をかけない運転を心がけるのも効果的です。 日常点検と運転環境に十分気を配れば、オーバーヒートのリスクを最小限に抑えられるでしょう。