自転車は原則的に、車道の左側を走ることになっています。クルマとの距離が近いため、危うく接触しそうになりヒヤッとした経験があるドライバーさんも少なくないのではないでしょうか。一部の道路には、そんな自転車のための専用通行帯などが設けられている場所があります。
それが「自転車専用通行帯(自転車レーン)」と「自転車ナビマーク・自転車ナビライン」。この2つ、似ているようで実は違いがあることをご存じでしょうか? 今回は、ドライバーも知っておきたい自転車の走行ルールについて解説します。
自転車専用通行帯(自転車レーン)とは?
警察庁交通対策本部が定めた「自転車安全利用五則」(※)に「1.自転車は、車道が原則、歩道は例外」とあるように、自転車は歩道と車道の区別がある場所では車道通行が原則となっています。
ただし、車道左端に「普通自転車専用通行帯(自転車レーン)」が設けられ、道路標識などにより通行の区分が指定されているときは、自転車は指定の通行帯を通行しなければなりません(道路交通法第20条第2項)。通行方向は、「一方向(自動車と同方向)のみ」となります。
ちなみに、道路によっては「自転車道」が設けられている場所もあります。ここでは車道を横断する場合ややむを得ない場合を除いて自転車道を通行しなければなりません(道路交通法第63条の3)。この場合は一方通行規制がない限り、「双方向通行」となります。
※自転車安全利用五則
1.自転車は、車道が原則、歩道は例外
2.車道は左側を通行
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4.安全ルールを守る
・飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
・夜間はライトを点灯
・交差点での信号遵守と一時停止・安全確認
5.子どもはヘルメットを着用
自転車ナビマーク・自転車ナビラインは「法令の定めのない表示」
また、一部道路では自転車の安全な通行のために、車道の左端に「自転車ナビマーク」、交差点に「自転車ナビライン」が設けられていることがあります。
どちらも自転車の通行部分と進行方向を表していますが、上で紹介した「自転車専用通行帯」や「自転車道」とは違い、法令で自転車が保護されているわけではありません。周囲のクルマや歩行者には十分注意して通行するように心がけましょう。
自転車のルール違反にも罰則あり
気軽に乗れて便利な自転車ですが、道路交通法上は「軽車両」であり、法令や標識に従わなければクルマと同じように違反となります。
「飲酒運転」や「信号無視」、「並進」、「歩道通行」といった行為のほか、「自転車を除く」という補助標識がない場合の「一時停止」「徐行」「一方通行」などの標識の無視も違反となるのでご注意を。罰金や罰則も定められており、万が一自身の過失で対人事故を起こした場合は被害者に対する賠償義務が発生することもしっかり覚えておきましょう。
自転車の走行ルールは意外と複雑で、日頃から頻繁に使っている人でさえ曖昧な認識になっているかもしれません。乗る人もそうでない人も、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。