トーヨータイヤのタイヤテストコース(宮崎県)にはタイヤ専門のテストドライバーが在籍しています。日々タイヤの性能をチェックしている彼らは、運転のプロフェッショナル。運転が上手でなければ勤まらない仕事です。
ということは、運転が上手になるためのコツや秘訣もたくさん知っているということ…。いい機会です。日常的に使えるドライビングテクニックのポイントを教えてもらいましょう!
お話を伺ったのはTOYO TIRE株式会社 タイヤ技術本部 タイヤ実験部 タイヤ試験場 実車試験担当リーダーの奈須祐二さん。(旧:東洋ゴム工業株式会社)
そしてTOYO TIRE株式会社 タイヤ技術本部 タイヤ実験部 タイヤ試験場の髙岡洵さん(旧:東洋ゴム工業株式会社)のお二人です。
タイヤを長持ちさせる走り方
まずは、タイヤを長く使うためのテクニックです。何においても、タイヤの空気圧の管理が一番重要なんですって。
「タイヤの空気圧が下がってくると燃費も悪くなるし、摩耗もしやすく、乗り心地も悪くなっちゃうんです。だからこまめに空気圧をチェックするのが大事なんですよ」(髙岡さん)
できればガソリンスタンドに入るたびに、チェックをしたほうがいいそうです。そして空気圧が低くなっていたら空気を入れて調整すること。
「家でも計れるように、小型のものでいいので空気圧計・エアーゲージがあるといいですね」(髙岡さん)
1000円以下のものでも大丈夫とのこと。精度はプロ用のものと比べて落ちますが、目安にはなります。そして空気が減っていたら、ガソリンスタンドで空気を入れましょう。あまり頻繁には車に乗らないという人は、カーシガレットの12Vで動かせるタイヤ用のエアーコンプレッサーを持っていてもいいかもしれません。
雨が降ってきたときの対処
刻々と変わっていく状況に対して、どのような運転を心がければいいのでしょうか。
「遠くを見ることですね。私たちは一般道でもタイヤのテスト中でも、近いところではなく遠くを見ています。目線が近いと全体の状況の把握が遅れてしまうのですが、遠くを見ていると余裕ができます」(髙岡さん)
これは雨天時に限るお話ではないそうです。走っている道の先にある工事などの標識や、横から合流してくる車の把握など、遠くを見ることで予測がしやすくなるそうです。
「ブラインドコーナーが多いワインディングなどは、山肌とか電線とか、川の流れを見るといいんですよ。地形がわかると、ある程度ですが次にやってくるカーブの角度がわかります。運転のスキルを高めるよりも、より多くの情報(先を読んだ予測運転ですね)を取り入れてあらかじめ把握することが大事です」(奈須さん)
おお! なるほど! 初めて通る道であっても道の先を予測できるなら、安心できますね。
「状況が変わっても対応できるように、ハンドルをソフトに握るのも大事ですね。上半身はリラックスさせて運転してください。身体にも、気持ちにも余裕を持たせるんです」(髙岡さん)
ガチガチにハンドルを握っているといざ!というときにちゃんと操作できなくなってしまいます。また片手運転もアウト!
「ブレーキも重要ですね。最初は優しく踏み込み、ブレーキパッドをブレーキローターに接触させてからグーッと踏み込むんです。一気に踏み込んでしまうと、路面状態がどうなっているのかのインフォメーションがわからず、スリップしてしまったりするんです。ブレーキってどーんと踏めば効く、わけではないんですよね」(奈須さん)
このブレーキングの技術は雪道でも有効なんですって。たとえば圧雪路はタイヤがグリップしますが、アイスバーンになるとツルっと滑ってしまう。軽くブレーキを踏んだときのインフォメーションから路面状態を探り、ちゃんとグリップする路面のときにブレーキングを行なうのがポイントです。
「安全な場所で、日常からマイカーの一番ブレーキが利くポイントを探っていくといいんですよ。その感覚を知るのは難しいけど意識するだけで運転はとてもうまくなりますよ」(奈須さん)
同乗者を車酔いさせないための運転技術
車酔いしやすい家族がいるときは、加速減速に注意します。
「できるだけ、同乗者の頭部の動きが少なくなるように優しく運転します。加速も減速もカーブも優しく。こういう走りを心がけると、人間にもいいし車にもいいし、タイヤにも、環境にもいいんです」(髙岡さん)
穏やかな運転が車酔いの可能性を下げていくんですね。
「横から受ける重力(G)よりも前後と上下のGの変化で酔うことが多いんですね。だからブレーキをかけるときは、同乗者に「ブレーキかけるよ」と伝えてからペダルを踏み込む。あらかじめ車の動きを、同乗者にも予測してもらうといいですね、ここでも先の「最初に優しく踏み込む動作」を行う事で同乗者に教えるんですね。
それから、レベルアップとして止まる時も少しブレーキを緩めてあげると、揺り戻しが小さくなり、より優しくなります」(奈須さん)
一度、車に酔ってしまったら、回復するまでに時間がかかります。だから、車の姿勢が極力変わらないように、そして頭部が大きく揺れないように運転しましょう。
テストドライバーの話から紐解いた、運転がうまくなるためのポイントは
「ドライビングポジションを徹底的につめてください」(奈須さん)
悪いドライビングポジションだと、力を入れないといけないときに力が入らないし、力を抜かないといけないときに力が抜けない。これではちゃんと運転ができません。
最初は窮屈に感じると思いますが、慣れてくると視線や姿勢がよくなるので疲労感が少なくなり楽になりますよ。また正しい姿勢で運転されているドライバーさんを街中で見ると安心できます。
「停車中にブレーキをぐーっと踏み込んでください。そのときに膝が伸びきらない位置までシートを前に進めます。また背もたれは、ステアリングの12時を持って背中をシートから離さずに肘が軽く曲がる位置まで起こします。
ヘッドレストも後頭部が真ん中になるように調整してください」(奈須さん)
楽だからとシートを下げすぎたり、背もたれを倒しすぎるのはダメ絶対! 適切なドライビングポジションであれば視界もよくなりますし、道の先もよく見えるようになりますよ。
あっ、シートベルトも腰骨に合わせてくださいね。
意外と忘れがちなポイント。家族や友達の車を借りたり、レンタカーを借りたときも、正しいポジションとなるようにセッティングしましょう。腰痛持ちの方も適正ポジションにすると楽になるし、長距離運転にもよいそうですよ。
いかがでしたでしょうか。すでにご存じのポイントもあるかもしれませんが、改めてお聞きすると「なるほど」と感じるものばかり。一緒に乗るみんなから「運転がうまいね!」と言われるように心がけたいものですね。