冬の道路を安全に走るために欠かせない融雪剤。しかし、この融雪剤が愛車の大敵になることをご存じでしょうか。雪道を走行した後、クルマの下回りに白っぽい汚れが付着しているのを見かけたことがあるかもしれません。それこそが融雪剤の跡で、放置すると錆の原因になってしまいます。今回は、融雪剤から愛車を守るための下回り洗車の方法や頻度について詳しく解説します。
目次
融雪剤の成分と金属腐食のメカニズム
融雪剤は、道路の凍結や積雪を防ぐために散布される薬剤で、主な成分は塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどです。これらは水に溶けることで凝固点(凍る温度)を下げ、雪を溶かしたり再凍結を防いだりする効果があります。
そもそも金属が錆びるのは、金属に付着した水分によって酸化が起こるためです。融雪剤の塩分を含んだ水分は金属の表面から蒸発しにくくなり、より長い時間水分がとどまることで、酸化を促進してしまう(=錆びやすくなる)のです。
融雪剤を落とす「下回り洗車」のタイミングと頻度

融雪剤の影響を受けやすいのが、マフラーやホイールなどの足回りやボディ下部などです。雪道の走行後は、これらの場所をしっかり洗浄して塩分を落としておきましょう。ここでは、下回り洗車のベストなタイミングについて解説します。
融雪剤を落とす洗車頻度は?「雪道走行後すぐ」が理想
基本的には、できれば雪道を走行した当日に、遅くても2〜3日以内に洗車することが理想的です。融雪剤は時間が経つとクルマの下回りに固着してしまい、落としにくくなります。特に高速道路など、融雪剤が大量に散布されているルートを走行した後は、できるだけ早めの洗車を心がけましょう。帰宅後すぐに下回りに水をかけるだけでも、何もしないよりはるかに効果的です。
頻繁に洗えない場合の目安:週1回や給油のついで
毎回雪道を走った後すぐに洗車するのは難しい、という方も多いでしょう。そんな場合は、週に1回程度を目安に下回りの洗車を行うのがおすすめです。また、ガソリンスタンドで給油するタイミングに合わせて洗車するのも効率的な方法です。
日常的に融雪剤が散布された道を走る場合は、月に1~2回程度の定期的な洗車でも一定の効果があります。ただし、融雪剤の影響を最小限に抑えるためには、やはりこまめな洗車が望ましいことは覚えておきましょう。
晴れた日でも要注意?乾燥した塩分の飛散リスク
雪が降っていない晴れた日でも、油断は禁物です。道路に残って乾燥した融雪剤の粉末が、走行中のタイヤで巻き上げられ、クルマの下回りやボディに付着することがあります。
また、融雪剤を含んだ雪解け水もクルマにダメージを与えます。春先になっても、雪解け水には融雪剤の成分が含まれていることがあるため、完全に雪がなくなるまでは冬場と同様の洗車を心がけることをおすすめします。
【タイプ別】下回りをきれいに洗う方法

下回りの洗車には、いくつかの方法があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
ガソリンスタンドの「下部洗浄付き洗車機」を利用する
最も手軽なのが、ガソリンスタンドの洗車機で「下部洗浄」オプションを利用する方法です。通常の洗車コースに加えて、数百円の料金で追加できます。
下部洗浄オプションでは、洗車機の床面に設置されたノズルから高圧水が上向きに噴射され、クルマの下回りを自動で洗浄してくれます。クルマに乗ったまま短時間で完了するため、忙しい方や給油のついでにサッと洗いたい方に最適です。
ただし、洗車機は車種ごとの細かい構造に合わせて洗浄しているわけではないため、複雑な形状の部分には洗い残しが発生する可能性があります。また、すべての洗車機に下部洗浄機能が付いているわけではないので、事前に確認しておくと安心です。
コイン洗車場の「高圧洗浄ガン」で念入りに洗う
より丁寧に洗いたい場合は、コイン洗車場の高圧洗浄機を使う方法がおすすめです。水洗いコースなら300円程度から利用でき、洗浄する部分を自分で確認しながら念入りに洗えます。時間制限があるコイン洗車場では、途中で時間切れにならないように、洗う場所の時間配分をあらかじめ決めておくとスムーズです。
なお、高圧洗浄機のホースはボディやホイール部分などに当たると傷の原因になることもあるため、慎重に扱いましょう。
ここは重点的に!洗い残しを防ぐチェックポイント
下回りを洗う際、特に注意したいのがタイヤ周辺です。見落としがちな部分ほど、融雪剤がたまりやすく錆びやすい傾向があります。
汚れがたまりやすいタイヤハウスとホイール内部
タイヤとボディの間にあるアーチ状のタイヤハウスやホイール内部は、融雪剤などの汚れがたまりやすい場所です。これらの部分は通常の洗車では水が届きにくいため、意識的に洗浄する必要があります。洗浄の際は、ノズルを30cm以上離して使用し、タイヤに近距離で高圧水を噴射してしまわないよう注意しましょう。ゴムが傷む原因になります。
シーズン前の「アンダーコート(防錆塗装)」という選択肢

こまめな洗車に加えて、さらに積極的な錆対策をしたい方には、アンダーコート(防錆塗装)という方法もあります。
アンダーコートとは、クルマの下回りに特殊な防錆剤を塗布し、水分や塩分の侵入を防ぐコーティング施工のことです。すでに発生した錆の進行を抑える効果もあるといわれています。融雪剤が散布される地域に住んでいる方や、ウインタースポーツで雪道を頻繁に走る方には特におすすめの対策です。
施工費用は店舗やクルマのサイズによって異なりますが、一般的には1万円〜2万円程度が相場です。効果の持続期間は1年から2年程度とされており、定期的な再施工が必要になります。アンダーコートは、ディーラー、カーショップ、整備工場、ガソリンスタンドなどで施工を依頼できます。
アンダーコートの効果は防錆だけではありません。コーティングの被膜が走行中の振動を吸収する、小石による傷を防ぐ、防音効果をもたらすなど、複数のメリットがあります。冬が本格的に始まる前、スタッドレスタイヤに交換するタイミングで一緒に施工しておくと効率的です。
こまめな点検が愛車の寿命を延ばす
アンダーコートを施工した後も、定期的な点検は欠かせません。通常の12カ月点検でもクルマの下回りはチェックされますが、融雪剤の影響を受けやすい冬のシーズン中に、専門店などで一度確認してもらうのも良いでしょう。
下回りの錆は普段目に見えない部分で進行するため、気づいた時には深刻な状態になっていることもあります。マフラーやサスペンションなどの重要な部品に錆が進行すると、車検に通らなくなったり、修理費用がかさんだりする可能性があります。
早期発見・早期対応が、愛車を長持ちさせる秘訣です。洗車の際に自分でも下回りをチェックする習慣をつけたり、異音や異変を感じたら早めに専門家に相談したりすることで、大きなトラブルを未然に防げます。
まとめ:冬も快適なカーライフを楽しむために
雪道での安全な走行を助けてくれる融雪剤は、愛車にとっては錆の原因となる厄介な存在でもあります。しかし、正しい知識と対策があれば、融雪剤のダメージを最小限に抑えられます。
雪道を走った後はできるだけ早く、少なくとも週1回程度の下回り洗車を心がけましょう。ガソリンスタンドの洗車機やコイン洗車場の高圧洗浄機を上手に活用すれば、それほど手間をかけずに効果的な洗車ができます。特にタイヤハウスやホイール内部など、見落としがちな部分も忘れずにチェックすることが大切です。
さらに、冬が始まる前にアンダーコートを施工しておけば、より安心して雪道を走れます。定期的な点検と組み合わせることで、愛車の寿命を大きく延ばせるでしょう。
少しの手間と心がけで、大切な愛車を融雪剤のダメージから守れます。この冬も快適で安全なカーライフをお楽しみください。



