安全運転には、正確な周囲の状況把握が不可欠です。数あるクルマの備品のなかでも「サイドミラー(ドアミラー)」は、後方や側方の状況を確認するための重要な装備ですが、正しく調整されていなければ死角が広がり危険な状況を招きかねません。
今回の記事では、サイドミラーの正しい調整方法と注意点について詳しく解説します。
目次
サイドミラーの理想的な見え方
サイドミラーは「道路運送車両の保安基準 第44条(後写鏡等)」で自動車への設置が義務付けられているパーツです。正しい設置方法や調整がされていないと、安全運転に支障が出るだけでなく、車検に通らない可能性もあります。ここではサイドミラーの理想的な見え方を確認しておきましょう。
車体のスイッチで調整する場合

サイドミラーの位置や角度は、多くのクルマではインパネ(インストルメントパネル)や運転席ドア付近にあるスイッチで調整できます。まず調整するミラーを選び、スイッチを上下左右に操作して位置を合わせていきます。
上下方向の調整では、ミラーの下半分に道路、上半分に空が見える角度が理想的です。後方のクルマが見えることも確認しておきましょう。
左右方向の調整では、自車のボディが1/4程度見える位置が適切です。ボディが全く見えないと、他車との距離感がつかみにくく、逆に多く見えすぎると死角が増えてしまいます。
サイドミラー調整時の注意
続いてサイドミラーを合わせる際の注意点も見ていきましょう。
シートをセットしてから、運転席・助手席の順に調整しよう

サイドミラーはドライバーの運転姿勢によって見え方が大きく変わります。そのため、サイドミラーを調整する前に正しいドライビングポジションをとっておくことが大切です。
まずシートに深く座り、背中をシートに密着させます。ペダルをいっぱいに踏んだ時に膝に余裕ができる位置にシートを調整し、ハンドルの最上部を両手で握った時に肘が伸びきらない位置にリクライニングを設定します。
シートのセットが終わったら、先に運転席側のサイドミラーから、上下→左右の順番で調整しましょう。終わったら助手席側も同様に調整します。
目視の習慣を身につけることも重要
どれだけ正確にサイドミラーを調整していても、構造上の理由から死角は必ず存在します。特に自車に近い位置はミラーに映らないため、ミラーだけの確認では巻き込み事故や衝突事故の危険があります。乗用車よりもコンパクトですり抜け走行の多いバイクは死角に入りやすく、見落としの原因となります。車線変更や右左折時には必ず目視で安全確認をする習慣をつけましょう。
死角を減らすグッズも活用しよう

最近では、死角を減らすためのさまざまな補助装置やグッズが開発されています。
例えば一部車種に搭載されている「ブラインドスポットモニター(BSM)」は、ドライバーの後方確認をサポートしてくれる便利なシステムで、ミラーでは見えにくい斜め後方の車両をレーダーで検知して知らせてくれる仕組みです。
また、市販の補助ミラーも有効です。サイドミラー下部やAピラー、ルームミラーなどさまざまな場所に後付けすることで、既存のミラーでは見えない範囲をカバーできます。ただし、取り付け位置や大きさには注意し、メインの視界を妨げないようにしましょう。
まとめ
サイドミラーの正しい調整は安全運転の基本です。理想的な見え方としては、上下方向では下半分に道路、上半分に空が映る角度、左右方向では自車のボディが少し映る位置が適切です。調整前には正しいドライビングポジションをとり、運転席側→助手席側の順に調整することがポイントです。
ただし、どんなに正確に調整していても死角は存在するため、車線変更や右左折時には必ず目視での確認を習慣づけましょう。また、死角をカバーする補助グッズの活用も効果的です。今回ご紹介したポイントを参考に、サイドミラーを使いこなしてください。