引っ越しなどで住所が変わると、各自治体への転居・転入届の提出や車庫証明・車検証の住所変更など、さまざまな手続きが必要になります。運転免許証の住所変更手続きもその1つです。
今回の記事では、運転免許証の住所変更手続きの方法や注意点などについて詳しく解説します。
目次
住所変更に期限は存在しない!
役所への転入届の提出には「引っ越しから14日以内」という期限がありますが、免許証の変更手続きには明確な期限は設けられていません。とはいえ、運転免許証は身分証としても使用する大事な書類であることを考慮して、なるべく早めに住所変更を済ませておくことをおすすめします。
なお、道路交通法の第94条(免許証の記載事項の変更届出等)には、「第九十三条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載(中略)を受けなければならない」と記載されています。
住所変更をしないとどうなる?
先述のとおり住所変更手続きに明確な期限はありませんが、手続きをしないと以下の3つのトラブルが生じる可能性があります。
罰金を科せられることがある
道路交通法第94条に反して運転免許証の住所変更を怠った場合、2万円以下の罰金または科料に処されることになっています(第121条第1項第10号)。悪質だと判断された場合は罰金を科せられる可能性があるので注意しましょう。
免許更新のお知らせが届かない
運転免許証の住所変更手続きをしていないと、免許証の更新時期を知らせるハガキが届かないことも。免許証をうっかり失効させてしまった場合、6カ月以内であれば適性検査と講習を受けることで免許を再取得できますが、6カ月を過ぎてしまうと仮免許証を取得したうえで、講習を受けて本免許試験に合格する必要があります。
さらに失効した日から1年が過ぎると、はじめから運転免許を取り直さなくてはなりません。運転免許証が失効した状態での運転は「無免許運転」となるのでご注意ください。
なお、免許更新だけでなく違反者講習の通知が届かない可能性もあります。
身分証明書として使用できない
運転免許証は身分証明書として使用されることがありますが、新しい住所が反映されていないと正確な証明ができません。変更手続きは忘れずに行いましょう。
住所変更はどこでできる?

運転免許証の住所を変更するときは、「運転免許証記載事項変更届」に必要事項を記入して提出します。手続きが行える場所は、基本的に各都道府県内の警察署や運転免許センター、運転免許更新センター、運転免許試験場などです。愛知県や山口県など一部の地域では、幹部交番でも手続きが可能です。ただし警察署で変更する場合、地域によっては住所地を管轄する警察署でしか手続きできないこともあります。お住まいの地域の警察のWebサイトなどで、受付場所を事前にご確認ください。
手続きにかかる所要時間
変更にかかる時間は手続きする場所や混雑具合などによっても異なりますが、早くて10分程度、混みあっている場合は1~2時間になることもあります。比較的混雑しやすい免許センターよりも、警察署のほうが短時間で終わる傾向にあるようです。
なお、2025年3月24日から運用開始される「マイナ免許証」を保有している場合、あらかじめ「住所変更ワンストップサービス等」の利用開始手続きを行っておくことで、住所や氏名に変更が生じても記載事項変更届の提出は不要となります。また、マイナ免許証のみを保有している場合(マイナ免許証と運転免許証の2枚持ちの場合は不可)は、マイナポータルでのオンラインでの本籍変更も可能となります。
住所変更に必要な書類

運転免許証の住所変更を窓口で行う場合の持ち物は、「運転免許証」「新住所を確認できる書類」「運転免許証記載事項変更届」の3点で、手数料は無料です。
新住所を確認できる書類としては、住民票の写し(確認後に返却)、健康保険証、マイナンバーカード(通知カードは使用不可)、身分証明書、新住所に届いた郵便物(転送されたもの、宛名がカタカナで記載されているもの、住所が町名からのみ記載されているもの等は使用不可)などがあります。手続き当日はこれらのうち1つと、運転免許証をあわせて持参しましょう。
運転免許証記載事項変更届は手続き場所で配布されているので、現地でご記入ください。
本籍や氏名も変更する場合
また、結婚などで、住所とともに本籍地や氏名にも変更がある場合は追加の書類が必要です。
本籍(国籍)の変更では「本籍(外国籍の方は国籍)が記載されている住民票の写し 1通(返却不可)」、氏名の変更では「新氏名を確認できるマイナンバーカード(通知カードは使用不可)」または「本籍(外国籍の方は国籍)が記載されている住民票の写し 1通(返却不可)」を用意しましょう(旧姓の併記も可能です)。
代理人による手続きの場合
病気や負傷などの理由によりドライバー本人が手続きできない場合は、家族などの代理人に依頼することも可能です。その場合は上にご紹介した3点の必要書類のほかに、委任状と代理人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、パスポートなど)を持参してください。
まとめ
今回は、運転免許証の住所変更手続きの流れについてご紹介しました。
住所変更には法定の期限はないものの、道路交通法上は速やかに行うことが求められています。変更手続きを怠ると、最大2万円の罰金リスクや、更新通知が届かず免許が失効するなどの可能性があるため注意が必要です。手続きはお近くの警察署や運転免許センターなどで、運転免許証と新住所を確認できる書類を持参すれば無料で行えます。
マイナ免許証の開始により手続きの簡略化も進んでいますので、引っ越しの際はぜひ早めに住所変更を済ませておきましょう。