普通自動車運転免許を取得するには、いくつものステップをこなす必要があります。今回の記事では、教習所に入校してから免許を取得するまでの流れと、つまずきやすいポイントについて詳しく解説します。
目次
教習所入校から卒業検定までの大まかな流れ
自動車運転免許は、教習所に入校してから最短1カ月、長くても2~3カ月通学して免許を取得するのが一般的です。また、宿舎に滞在して短期集中で学ぶ合宿免許では、AT車で最短14日間、MT車では最短16日間で卒業検定を受けられます。以下の項目では入校から卒業までの流れを紹介します。
入校手続き・適性検査
教習所に着いたら、まずは入校申込書などの必要書類に記入します。教習の進捗状況を記録する教習原簿もここで作成されるので、自分の情報に間違いがないか確認しておきましょう。
手続きが終わったら適性検査に進みます。聴力・視力検査のほかに、運動能力・色彩識別能力の検査や、アンケート形式の「運転適性検査」も行われます。これは個人の性格や運転傾向などを測るためのもので、結果が悪かったからと言って入校できないというものではありません。
第一段階
教習は第一段階と第二段階に分かれており、第一段階の終わりに修了検定に合格すると「仮免許」を取得できます。ここでは第一段階の教習内容についてご紹介します。
学科教習
「学科教習」では、交通ルールや運転マナー、安全運転などの基礎知識を座学で学びます。第一段階では、1コマ50分の授業を10時限受講します。
技能教習
「技能教習」では、教習所内のコースで教習車に乗って基本的な運転操作などを学びます。第一段階では、普通車AT限定免許は12時限、普通車MT免許では15時限の教習を受けます。1日の技能教習時間の上限は2時限までです。
効果測定・みきわめ
「効果測定」は、第一段階の学科教習の理解度を確認する模擬試験のようなものです。また、「みきわめ」は、第一段階の技能教習の内容が身についているか確認するものです。
修了検定
すべての学科教習・技能教習を終えて、効果測定とみきわめに合格したら、「修了検定(技能検定)」を受けます。修了検定は、第一段階で身につけた運転技術を確かめる技能テストです。100点からの減点方式で、70点以上で合格となります。
仮免許学科試験
「仮免許学科試験」は、第一段階で学んだ交通ルールや法律などの知識を確認する学科試験です。試験時間は30分で、50問中45問以上(90点以上)の正解で合格となります。
合格修了検定と仮免許学科試験の両方に合格すると、仮運転免許証が交付されます。
第二段階
仮免許を取得したら、第二段階の教習へと進みます。ここでは第二段階の教習内容についてご紹介します。
学科教習
第一段階からさらにステップアップした内容の教習で、応急救護の方法を学ぶ時間もあります(医師や救急救命士などの資格があれば免除)。第二段階では16時限の教習が必要です。
技能講習
第二段階からは教習所の外へ出て、路上や高速道路などでも運転します。ただし、近くに高速道路のない教習所では高速教習を行わず、シミュレーターのみとなる場合もあります。第二段階では、普通車AT限定と普通車MTいずれも19時限の教習を受けます。第二段階では、1日の技能教習時間の上限は3時限までです。
効果測定・みきわめ
学科教習と技能教習を受け終えたら、第一段階と同様に効果測定とみきわめで確認が行われます。両方の基準を満たせば、卒業検定を受検可能です。
卒業検定
「卒業検定」は第一段階・第二段階で学んだ運転技能を確かめるテストで、教習所内のコースと路上の2カ所で行われます。100点からの減点方式で、70点以上で合格となります。卒業検定に合格すると、合格証明書が交付されます。
免許センターでの学科試験
上記の流れで教習所は卒業となりますが、免許を取得するには居住地の運転免許センターで「本免許学科試験」を受ける必要があります。本免許学科試験では、○×問題90問とイラスト問題5問が出題され、90%以上の正解で合格となります(試験時間50分)。
合格したら写真撮影をして、当日中に免許証が交付されます。
つまずきやすいポイント
教習や試験を受けるうえで特につまずきやすいポイントについて説明します。
S字カーブ・クランク
多くの初心者ドライバーにとって最初の難関といえば、「狭路の通行」とも呼ばれる「S字カーブ」と「クランク」。狭路と言われるとつい身構えてしまいますが、実は車2台分ほどの道幅があります。
どちらも通行する際は、
- 近づくと曲がり角が見えなくなるので、見えるうちにしっかり見ておく
- 内輪差による脱輪を防ぐため通る位置は、やや外側(大回りで曲がるように)
- 視線は正面ではなく車の進む先に
の3つのポイントを意識しましょう。
縦列駐車
運転免許取得後も苦手意識を持っているドライバーが多いのが、「縦列駐車」です。
縦列駐車では駐車スペースの前端をラインとして、
- 車体の後端がラインを過ぎたらハンドルを左に全開に切る
- 駐車スペース後ろ奥の角と車体の角度が揃ったらハンドルを真っ直ぐに戻す
- 車体の左前部分がラインを過ぎたら、ハンドルを右に全開に切る
の3つのポイントを意識しましょう。
学科試験
免許を取得するうえで避けては通れない学科試験。覚えることが多いうえに引っ掛け問題もありますが、出題方法のクセさえ覚えてしまえばそれほど難しくありません。
学科試験では、
- 「必ず〜しなければならない」という100%言い切る「断定表現」は「×」が多いので注意
- 数字は語呂合わせなどで丸暗記
- ケアレスミスを誘う表現も多いので、見直しをしっかり
の3つのポイントを意識して、練習問題も積極的に解いておきましょう。
覚えておくべき期限
教習所入校から免許取得までの間には、いくつかの期限が設けられています。教習予約が取れなかったり、体調を崩したり、想定外のトラブルが発生しても慌てないよう、余裕をもったスケジュールで進めるのが大切です。
教習の有効期限
教習の有効期限は9カ月です。入校した日ではなく最初の教習を受けた日から数えて9カ月以内にすべての教習を終える必要があります。
仮免学科試験の有効期限
仮免学科試験の有効期限は3カ月です。第一段階の修了検定から、3カ月以内に仮免許学科試験に合格する必要があります。
仮運転免許証の有効期限
仮免許証の有効期限は6カ月です。仮運転免許証発行日から半年以内に、第二段階の教習を受けて本試験に合格しましょう。
卒業検定の有効期限
第二段階までの教習が終了したら、みきわめ合格後3カ月以内に卒業検定を受ける必要があります。ここで注意したいのが、この3カ月というのは、教習9カ月・仮免許6カ月などの有効期限に関係なく適用される点です。
例えば、教習さえ終えていれば9カ月を過ぎてもみきわめから3カ月以内であれば有効です。反対に早いペースで教習を終えた人は、教習の有効期限内だったとしても、みきわめから3カ月過ぎてしまうと無効になるのでご注意ください。
卒業証明書の有効期限
卒業証明書の有効期限は1年間です。この間に運転免許センターで本免許学科試験に合格する必要があります。期限には余裕がありますが、時間とともに教習所で学んだ記憶も薄れてしまうので、なるべく早めの受験をおすすめします。
教習でつまずくと補習教習費用や追加の受験料などで費用がかさむだけでなく、期限切れになればこれまでの教習が無効になってしまう場合もあります。疑問や不安に思うことがあれは、お近くの自動車教習所にお問い合わせください。