タイヤの寿命を縮める「偏摩耗」の原因と対策とは?
- メンテナンス
- 2016.11.08
クルマの足・タイヤは、車のパーツのなかで、唯一路面に直接触れるため、日頃の走行によって少しずつ摩耗していくのは既にご存じのこととは思います。しかし、すべてのタイヤが均一に摩耗するとは限りません。車両の駆動方式、ドライバーの運転の癖やメンテナンス不足など、何らかの理由によってタイヤの摩耗が偏ってしまう「偏摩耗」は、クルマの燃費や性能の悪化をまねくこともあります。ここでは、そんな偏摩耗の原因となりやすいポイントをいくつかご紹介します。
空気圧の異常
クルマの乗り心地だけでなく、燃費やタイヤの寿命などさまざまな要素に大きく関わってくる空気圧。不足していると「両肩摩耗(ショルダー摩耗)」、過多の場合は「センター摩耗」といった偏摩耗を引き起こします。もしもタイヤの摩耗状態が気になったときには、まずは空気圧の点検をしてみましょう。
また、摩耗のバランスを取るためには定期的なタイヤの取り付け位置の交換(ローテーション)が有効ですが、これを怠って駆動輪に装着し続けたり、過荷重状態で使用している場合も偏摩耗を発生させることがあるので注意が必要です。
ホイールアライメントの異常
クルマの操縦性や安定性を左右する「キャンバー(正面から見た角度)」や「トー(上から見た角度)」といった「ホイールアライメント(タイヤの取り付け角度)」。これらの異常も偏摩耗を引き起こします。例えばキャンバーの角度が付き過ぎていたり、トーの角度が前側に狭い「トーイン」が過度になっていると、タイヤの外側が先に摩耗したり、リブやブロックの片側が羽根状に摩耗する羽状摩耗を起こしてしまいます。
それぞれの角度を狂わせる原因には、大きな段差に乗り上げたり、縁石にタイヤを激しく打ち当てたりするなどのタイヤや足回りに負担がかかる運転や、走行距離が増加することにより誤差が大きくなるなどが挙げられます。心配であれば、一度近くのカーショップなどで測定してもらうとよいでしょう。
このほかにもタイヤ、ホイールが曲がっていたり車にゆがんで取り付けられたりすると、「多角形摩耗」を起こすことがあります。「多角形摩耗」とは、その名の通りタイヤが多角形に摩耗してしまうもの。円形であるはずのタイヤが多角形では、クルマの走行性能が下がるのは当然のことですよね。タイヤは想像以上に複雑な作りをしているため、普段見慣れていないと目視では点検しにくい部分も多くあります。異音やガタつきなど、走り心地がいつもと違うと感じたら、すみやかにプロに相談しましょう。
クルマを運転する限り、タイヤの摩耗はどうしても避けられないことですが、偏摩耗はクルマの異常をいち早く知る重要なサインでもあります。日頃の洗車や給油のついでに、タイヤの摩耗もときどきチェックしてみてくださいね。