愛車のヘッドライトが以前よりも暗くなったと感じることはありませんか? その原因の1つとして考えられるのが、ヘッドライトの黄ばみです。この黄ばみは単にクルマの見た目を損なうだけではなく、視界不良による事故リスクの増加や、車検時のトラブルにもつながる可能性があります。
そこで今回は、ヘッドライトの黄ばみの原因から、コストを抑えながら自分でできる除去方法まで詳しくご紹介します。
目次
ヘッドライトの黄ばみとは
そもそもヘッドライトの黄ばみは、ヘッドライトカバーに使用されている「ポリカーボネート樹脂」が変色することで発生する現象です。現在の自動車のほとんどがこのポリカーボネート樹脂を採用しています。
この素材は従来のガラス製ヘッドライトよりも軽量で加工しやすく、衝撃に強いというメリットがあります。万が一の事故の際にも破片が飛散しにくいという安全性の観点からも広く採用されていますが、その一方で紫外線による劣化や傷つきやすさ、熱への弱さといったデメリットもあります。
ヘッドライトの黄ばみを放置すると
ヘッドライトの黄ばみを放置すると、さまざまな問題が発生する可能性があります。
まず1つは視界の悪化です。黄ばんだヘッドライトは光の透過率を下げ、本来の明るさを発揮できなくなります。特に夜間や雨天時の運転では視界が著しく悪化し、安全運転に支障をきたすおそれがあります。
また、車検への影響もあります。車検では光量や光軸の基準が定められており、黄ばみが進行したヘッドライトでは基準値をクリアできない場合があります。その結果、整備費用が発生したり、最悪の場合はヘッドライト本体の交換が必要になったりすることもあります。
黄ばみの発生は、ヘッドライトが劣化しているサインでもあります。この状態を放置すると、より深刻な損傷につながる場合もあるので注意が必要です。
ヘッドライトの黄ばみの原因とは

ヘッドライトの黄ばみが発生する主な原因は以下の3つです。
ヘッドライトの素材の特性
先述のとおり、現在主流のポリカーボネート樹脂は紫外線に弱いという特徴があります。太陽光に長時間さらされることで化学変化が起こって徐々に黄色く変色し、特に屋外駐車しているクルマではこの現象が顕著に表れる傾向にあります。
また、ポリカーボネート樹脂は熱にも弱く、ハロゲンランプなどの発熱量の多い電球を使用している場合、内部からの熱によっても劣化が進行することもあります。
ヘッドライトの経年劣化
新車時のヘッドライトには、紫外線や傷から保護するためのコーティングが施されています。しかし、このコーティングは洗車時の摩擦や紫外線などにより徐々に薄くなり、最終的には剝がれてしまいます。
コーティングが失われると、ポリカーボネート樹脂が直接外部環境にさらされることになり、劣化が急速に進行します。この状態が続くと、黄ばみだけでなく曇りも発生しやすくなるのです。
ヘッドライトの傷
走行中の飛び石や洗車などにより、ヘッドライト表面に細かな傷がつくことがあります。これらの傷は目に見えないほど小さなものでも、汚れや水分が蓄積しやすい環境を作り出します。
傷に入り込んだ汚れは除去が難しく、時間がたつにつれて黄ばみの原因となります。また、傷があることでコーティングの効果も低下し、さらなる劣化をまねく悪循環が生まれます。
ヘッドライトの黄ばみを自分で取る方法

軽度の黄ばみであれば、自分で除去することが可能です。ここでは黄ばみ除去の方法についてご紹介します。
準備するもの
まず、必要なものは以下のとおりです。
基本的なメンテナンス用品
- 洗車用品
- マイクロファイバークロス
- マスキングテープ
研磨・クリーニング用品
- ヘッドライトクリーナー
- コンパウンドや耐水ペーパー
仕上げ用品
- ヘッドライト用コーティング剤
- コーティング塗布用スポンジ
市販のヘッドライト研磨キットを購入すれば、必要な用品がまとめてそろうため便利です。商品や購入場所によって価格は異なりますが、手頃なものなら1000円台~3000円程度で購入できます。お近くのカーショップや通販サイトなどでお気に入りのものを見つけてみてください。
手順
ここからは実際の流れを見ていきましょう。研磨やコーティングについては、作業前に必ず商品の取扱説明書をご確認ください。
ステップ1:下準備
いつもどおり洗車をして、ヘッドライト周辺の汚れを除去します。完全に乾燥させた後、ヘッドライトの周囲にマスキングテープを貼り、この後の作業でボディに傷がつくのを防いでおきます。
ステップ2:軽度の黄ばみ除去
ヘッドライトクリーナーをマイクロファイバークロスや専用スポンジに適量つけて磨いていきます。力を入れすぎず、均等に作業するのがポイントです。
ステップ3:頑固な黄ばみ除去
クリーナーで黄ばみが落ちない場合は、コンパウンドや耐水ペーパーを使用します。目の粗いものから細かいものを段階的に使って研磨していきます。各段階で水洗いして研磨剤の粒子を完全に除去してから次の段階に進みます。
ステップ4:コーティング
黄ばみが除去できたらコーティング剤をスポンジに取り、ヘッドライト全体に均等に塗布します。乾燥させた後、もう一度重ね塗りを行い、完全に乾燥させて完成です。
注意点

黄ばみを除去した後の美しい状態を保つには、コーティングが必須です。何もしないとすぐに元通りになってしまうこともあります。研磨後は必ずコーティング剤で保護しましょう。
また、メラミンスポンジなど家庭にあるもので黄ばみを除去したい! という方もいますが、擦り過ぎによる傷やムラの原因になるためおすすめできません。専用アイテムを用意すると安心です。
コンパウンドや耐水ペーパーで黄ばみが落ちない場合はヘッドライトの外側ではなく内側に原因がある可能性があります。この場合はヘッドライトを取り外して内側を磨いていくことになりますが、分解や取り付けにはある程度の知識が必要です。取り付けが甘いと隙間から水や汚れが入り、さらに劣化を進めてしまう場合もあります。不安な場合はプロにおまかせすることをおすすめします。
ヘッドライトの黄ばみ取りをプロに依頼する場合
作業に不安がある場合や時間がない場合は、専門業者に依頼するという手もあります。
作業時間と費用の目安
まず、プロに依頼した場合の一般的な作業時間は50~90分程度です。黄ばみの程度や施工内容などによって変動しますが、その日のうちに完了することがほとんどです。
費用については、研磨(ヘッドライト磨き)代とコーティング代がそれぞれかかります。軽度の黄ばみであれば左右セットで研磨に3,000円〜1万円程度、コーティングに5,000~数万円程度が相場となっており、安くてもあわせて1万円程度はかかると考えておくと良いでしょう。ヘッドライトの交換が必要になった場合はさらに高額になります。
研磨もコーティングも、業者やサービス内容などによって費用が大きく変わります。さらに輸入車やカスタマイズ車の場合は、追加料金が発生することもあります。お住まいの地域の複数の店舗から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
まとめ
ヘッドライトの黄ばみは、ポリカーボネート樹脂の特性上避けられない現象ですが、市販の商品を使ったDIYでも除去可能です。軽度の黄ばみであればヘッドライトクリーナーで対応でき、頑固な黄ばみもコンパウンドや耐水ペーパーで改善できる場合があります。
重要なのは、黄ばみを放置せず早期に対処することです。今回ご紹介したポイントを参考に、定期的なメンテナンスでクリアな視界をキープしてみてください。ご自分での作業に不安がある場合は、無理をせず専門業者に依頼することも検討してくださいね。