アライメント調整とは?自分でやる方法も紹介!
- HOW TO
- 2023.06.022024.07.23Update
クルマのメンテナンスを受ける際などに、「ホイールアライメント」という言葉を目にしたことはありませんか? ホイールという言葉からなんとなく足回りに関する自動車用語であることは分かっても、具体的にどのような意味があるのか、分からない方もいるかもしれません。
今回の記事では、「ホイールアライメント」のメリットから調整方法まで詳しく解説します。
目次
アライメント調整とは何か
「ホイールアライメント」とは、タイヤの取り付け角度を適正に調整することです。アライメント(alignment)とは英語で調整、調節などの意味があります。「キャンバー」、「キャスター」、「トー」など、後述するいくつかのポイントを調整することによって、クルマの走行性能を最大限に引き出せるようになります。
キャンバー角
クルマを正面から見たときのタイヤの倒れ角度を「キャンバー角」といいます。タイヤ上部が外側に倒れている状態を「V字型」「ポジティブキャンバー」「+キャンバー」といい、反対に内側に倒れている状態を「八の字型」「ネガティブキャンバー」「-キャンバー」といいます。
ポジティブキャンバーには、パワーステアリングが付いていないFR車のハンドル操作を軽くしたり、ホイールの抜け出しを防止したりする効果があります。しかし現在ではほとんどメリットがないため、ドレスアップや旋回性能アップを目的にネガティブキャンバーに設定する場合がほとんどです。
キャスター角
前輪を横から見たときのキングピンの前後の傾きを「キャスター角」といい、キングピンの延長線が地面と交わる点とタイヤ接地中心との距離を「キャスタートレール」といいます。
通常、キャスター角はFF車では1~3度、FR車では3~10度程度で、この角度を大きめに設定することでハンドルを戻しやすくしたり、直進安定性を向上したり、コーナリング性能を高めたりする効果があります。
トー角
「トー(toe)」とは英語で足のつま先を意味する言葉で、クルマ用語における「トー角」とはクルマを真上から見たときのタイヤの角度のことを指します。前方に向かって内側にすぼまっている状態を「トーイン」「ポジティブトー」「+トー」、外側に開いている状態を「トーアウト」「ネガティブトー」「-トー」 、そしてまっすぐの状態を「トーゼロ」といいます。
現在は一般的なクルマのほとんどが「トーイン」もしくは「トーゼロ」に設定されており、トー角を付けることで走行中トーアウトになることを防いだり、偏摩耗を防いだりする効果があります。
アライメント調整が必要になる理由
ホイールアライメントを調整するのには、主に3つのメリットがあります。
タイヤの寿命延長
1つはタイヤの寿命を延ばせる点です。ホイールアライメントを調整することで均一な摩耗をサポートし、乗り心地のよさにもつながります。摩耗が異常に早く感じたり、偏摩耗が気になる場合はホイールアライメントがズレている可能性があるのでプロの点検を受けましょう。
燃費改善
もう1つは燃費の改善です。ホイールアライメントを適切な数値に保つことで、タイヤと接地面の抵抗を減らし、燃費を改善します。また、周辺パーツへの負担を減らして長持ちさせられるため、維持費のカットも期待できます。
ハンドリングの向上
そして最後はハンドリングの向上です。ホイールアライメントを調整することで安定感のある走りにつながります。
アライメント調整をやらないリスク
アライメントにズレがあると、「クルマがまっすぐ走らずフラフラする」「ハンドルがぶれる」「直進中にハンドルが傾く」「タイヤが偏摩耗する」「曲がりにくい」などの症状が起こります。少しでも異常を感じたらプロの点検を受けましょう。
また、サスペンションの交換や車高変更などのカスタマイズをした場合もアライメントはズレるため、調整が必要です。
アライメント調整の費用と時間の目安
整備工場やディーラーでのアライメント調整には、「アライメントテスター」という専用機械が使われます。この装置には、すべてのアライメントを一度に測定でき、精度も高いというメリットがあります。工賃の目安は車種によって異なりますが1~3万円程度で、作業時間の目安は1~3時間程度が一般的です。また、お店によって「アライメント測定(点検)のみの料金」の場合と、「測定+調整まで含んだ料金」の場合があるので、必ず事前に料金体系を確認しておくことが重要です。
なお、プロへの依頼については、「1.事前予約が必要」「2.車検不適合車は受けられない」「3.同じチェーン店でも対応・非対応店舗がある」といった注意点もあります。まずはお近くの店舗が対応しているか、一度お問い合わせください。
アライメントを自分でやる方法
アライメント調整は基本的にプロに任せるのが一番ですが、ホイールアライメントに関する知識があり、愛車に合った調整方法をきちんと理解していれば、専用の測定器具を使って自分で調整することも可能です。以下に各角度の測定・調整方法を簡単に紹介しますが、ジャッキアップや調整不備による事故などの危険も伴いますので、自信がなければプロにお任せしましょう。
キャンバー角の測定・調整
専用の測定器具を使って測定し、必要に応じてアッパーマウントなどを調整します。車種によっては調整ができない場合があります。
キャスター角の測定・調整
ハンドルを左右に20度ずつ切った状態でのキャンバー角の差から計算します。調整方法はサスペンションの構造などによって異なり、こちらも車種によっては調整できない場合があります。
トー角の測定・調整
車体の中心線と並行に棒などを置き、ホイールの前後それぞれの位置から棒までの距離を測定します。前と後ろの数値に差がなければトーゼロということになります。必要に応じてタイロッドの長さを変えて調整します。
まとめ
縁石に乗り上げたり事故に遭ったりといったトラブルがなくても、ホイールアライメントは車両の経年劣化で自然にズレていくものです。また、インチアップなどのカスタムによってズレが生じることもあります。
上でもご紹介したとおり、アライメントのズレはタイヤの寿命やハンドリング性能などにも影響するので、目立った症状がなくても数年に一度のメンテナンスをおすすめします。