ドライブ中、先行車のブレーキランプが切れているのを見かけたことはありませんか? ブレーキランプはクルマの後ろに付いているため自分では確認しづらいうえに、電球が切れたままの走行にはさまざまなリスクがあります。
今回の記事では、ブレーキランプの電球(バルブ)切れの対処法や交換方法などについて解説します。
目次
ブレーキランプとは
「ブレーキランプ(制動灯)」とは、ブレーキペダルを踏んだときに点灯するランプのこと。赤く光ることによって、自車の減速や停車を後続車に知らせて追突を防ぐ役割があります。
国交省が定める「道路運送車両の保安基準」では自動車(※最高速度20キロメートル毎時未満の軽自動車及び小型特殊自動車を除く)の後面2カ所への装着が義務付けられており、
- 制動灯は、昼間にその後方100メートルの距離から点灯を確認できるものであり、かつ、その照射光線は、他の交通を妨げないものであること。
- 制動灯の灯光の色は、赤色であること。
などといった細かい適合基準も定められています。
ちなみに、ブレーキランプと似たものに「ハイマウントストップランプ(補助制動灯)」があります。こちらは車体後方上部に設置されているのが一般的で、ブレーキランプと同様にブレーキペダル操作と連動して点灯します。
テールランプとの違い
クルマの後面にはブレーキランプのほかに「テールランプ(尾灯)」も付いています。テールランプには、暗い場所で後続車や歩行者に自車の存在を知らせる役割があり、道路交通法第52条で夜間の点灯が義務付けられています。
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
道路交通法 第52条
ブレーキランプがつかなくなる原因
ブレーキランプがつかなくなるのには、いくつかの原因が考えられます。ここでは代表的な3つの原因について見ていきましょう。
球切れ
ブレーキランプの寿命は電球の種類や使用環境などによって異なりますが、一般的に白熱球の場合は1,000~2,000時間、LEDの場合は50,000時間ほどと言われています。LEDは寿命が長いので基本的に交換の必要はありませんが、白熱球を使用している場合は球切れが起こることがあります。
なお、ブレーキランプとテールランプを兼用している車種では、同時に球切れが起こるので注意しましょう。
スイッチの不具合
ブレーキランプは、ブレーキペダルの操作と連動したブレーキスイッチによって点灯・消灯を切り替えています。何らかの原因でこのスイッチが故障すると、ランプがつかなくなったり、反対にランプがつきっぱなしになったりすることがあります。
断線
電球やスイッチに問題がないのにブレーキランプがつかない場合、ケーブルの断線やヒューズ切れなどのトラブルが考えられます。断線箇所の特定や配線など専門的な対処が必要になるので、信頼できる整備士に修理を依頼しましょう。
ブレーキランプが切れた状態での走行は違反になる
ブレーキランプがブレーキペダルと連動して昼夜関係なく点灯するのに対して、テールランプはヘッドライトやスモールライトなどと連動して夜間や暗いときにのみ点灯するのが特徴です。
ブレーキランプが切れていると、追突事故などさまざまなトラブルにつながる危険性があるだけでなく、車検にも通りません。車検に通らない状態での走行は、「整備不良(尾灯等)」として道路交通法違反(※)となります。なお、「尾灯等」とは、ブレーキランプ・ライト・ウィンカーなどを指すので、ほかの灯火類の電球切れにも注意しましょう。
※第62条第1項(整備不良車両の運転の禁止)
ブレーキランプが切れていた場合の罰則
整備不良(尾灯等)違反の罰則は、違反点数1点。反則金は普通車の場合7,000円です。大型車の場合は9,000円、二輪車(バイク)は6,000円、小型特殊・原付は5,000円です。乗用車のブレーキランプは後面2カ所に付いていますが、そのどちらか片方が使用できなくなれば違反となります。
ブレーキランプの修理や交換を依頼するスポットは
ブレーキランプが寿命を迎えると、白熱球の場合は急につかなくなり、LED電球の場合は徐々に暗くなります。修理や交換におすすめスポットをご紹介します。
ディーラー
ディーラーでは、メーカーに特化した部品がそろっているため、最もスムーズに交換してもらえるでしょう。もしブレーキランプがつかない原因がほかにあれば、そのまま点検・修理してもらえるのもメリットです。特約店ならではの安心感がある反面、他の業者よりも費用は高めになる傾向があります。
ガソリンスタンド
簡単なランプ交換なら、行きつけのガソリンスタンドでできることも。ただし、取り扱っている部品の数が少ないため、愛車の車種に対応した部品がない可能性もあります。あらかじめ問い合わせておくと安心です。
カー用品店
カー用品店は、お買い物のついでに利用でき、その他のパーツ交換やお手入れもまとめて依頼できるのがメリットです。もしDIYで交換できるのであれば、部品だけ購入するというのも手です。ただし、こちらも車種によっては対応部品を取り扱っていない場合もあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、状況にあわせて比較検討してみてください。もし外出先でブレーキランプ切れに気づいたときは、すみやかに最寄りの店舗に依頼しましょう。
修理や交換にかかる費用の目安
修理や交換をプロに依頼すると、部品代と工賃がかかります。部品代は白熱球なら数百円~1,000円程度、LED電球なら2,000円程度が一般的なので、工賃を加算して総額1,500~3,000円程度が目安です。修理内容や業者などによってはこれより高くなる場合もあります。
自分で交換する際の注意
ブレーキランプを交換するだけなら、それほど難しい作業ではありません。交換時に別途工具をそろえる必要はあるものの、自分で行えば部品代のみで済むので経済的です。電球を選ぶときは、お使いの車両取扱説明書で規格を確認したうえで、以下の四つの点に注意しましょう。
- 電圧
一般的な乗用車は「12V」。トラックやバスなどの大型車は「24V」です。 - シングル球・ダブル球
テールランプとブレーキランプの電球がそれぞれ独立している車種には「シングル球」、テールランプとブレーキランプに同じ電球を使っている車種には「ダブル球」を使います。 - ソケットタイプ
ブレーキランプなどには端子部分が金属で覆われた「口金タイプ」(S、G)、テールランプなどには端子部分が平たい「ウェッジタイプ」(T)を使います。 - 定格消費電力
ブレーキランプには「21V」、テールランプには「5W」を使用するのが一般的です。
なお、新しい電球を取り付けてもランプがつかなかったり、エンジンを切ってもブレーキランプが点灯しているなどの場合は接触不良や別の不具合が考えられます。お近くのディーラーや整備工場などに相談してみてください。
まとめ
自分のクルマを後ろから見る機会はほとんどないため、ブレーキランプの不具合にはなかなか気がつかないドライバーさんも多いかと思います。外から誰かに見てもらうのが一番簡単ではありますが、自分で確認したいときは駐車場の壁などに反射させてルームミラーやサイドミラーでチェックしてみましょう。車種によっては警告灯で知らせてくれることもありますよ。
見えにくい部分だからこそ、普段から定期的にメンテナンスしておきたいものですね!