高齢運転者は、自動車のベテランドライバー。しかし加齢により視力や判断力などの身体機能は変化し、若いときと同じではなくなってきます。皆さんは、高齢のご両親やご家族に免許自主返納の話をしたことがありますか?
今回は警察庁が2015(平成27)年に行った「運転免許証の自主返納に関する アンケート調査結果」をもとに、どんなきっかけで免許返納を行っているのか、そして自主返納制度について紹介します。
自主返納の理由ランキング、一番の理由は?
まずは「自主返納をしようと思ったとき」の回答について。回答者の約3割が「運転していてヒヤリとしたことなどがあったとき」「運転に自信がなくなったように感じたとき」など、事故を起こす前のタイミングで「自主返納をしようと思った」と感じている様子。
また自主返納を行った人は、「運転する必要がなくなった」、「運転に自信がなくなった」と自ら返納した人も多い中、返納理由の1位は「家族等に勧められて返納しようと思った」です。
本人が運転の危険に気づいていなかったり、返納のきっかけがつかめていないような場合は、ご家族の方が声をかけて相談するのがよさそうです。
自主返納に踏み切れない場合は、相談窓口の積極利用を
運転継続者の9割以上に免許の「自主返納制度」は知られています。一方でアンケートでの「免許センター等に相談できる窓口があることを知っているか」の質問には、運転継続者の66.9%、自主返納者の75.1%が「知らない」と回答しており、免許センター等の相談窓口(運転適性相談窓口)の存在はあまり知られていません。
警察署や運転免許センターにある相談窓口では、安全運転の継続に必要な指導を実施しています。
加齢に伴う身体機能の低下を踏まえて講習や適性検査を受けることができるほか、運転免許証の自主返納制度や自主返納者に対する各種支援施策を教えてくれます。
ご家族が免許返納に納得しない場合や、運転を継続できるか不安に感じているとき、この相談窓口をご紹介してみてはいかがでしょうか。
自主返納者には、デパートやタクシーの割引など自治体ごとに支援制度も
運転免許証を自主返納した方には、自治体や事業者等によるさまざまな支援が行われています。アンケートではこうした支援制度を、運転継続者の59.0%、自主返納者65.3%が知らないと回答があり、まだまだ知られていません。
支援の内容は、デパートなどの店舗での購入品の無料配送や、タクシー料金の割引など、マイカーを運転できなくなっても引き続き充実した生活を続けられるよう、地域の実情に応じた支援が行われています。
一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会が運営する「高齢運転者支援サイト」には各地の支援制度がまとめられていますので、お住まいの地域の支援制度を一度チェックしておくとよいでしょう。
「自主返納をためらう理由」について「車がないと生活が不便」と回答した人は68.5%に上ります。こうした不安を抱えた方には返納後の支援についても話し合いながら、運転免許の「自主返納」について一緒に考えてみましょう。