世界中の道を踏破しているトーヨータイヤのタイヤたち。信頼と実績を積み重ねるためには、安全性や快適性、運動性能といったさまざまなテストを、製品として発売する前に繰り返し行なわなければなりません。
一定の速度で走っているときの乗り心地も重要ですが、加速や減速、カーブなどでの操縦安定性も重要。万が一のトラブルを未然に防ぐさまざまな性能を追求するために、トーヨータイヤは日本国内に2つのテストコースを持っています。
今回はその1つ、宮崎県児湯郡都農町にある「宮崎タイヤテストコース」を紹介します!
設立されたのは1975年。日本初のタイヤ専用テストコースとなりました。もっとも歴史の深いコースの1つといえるでしょう。
総面積は15万平方メートルで、乗り心地や騒音(ロードノイズやパターンノイズ)の試験を行なう外周路の長さは約3.5km。またハイスピード時の操縦安定性や、レーンチェンジしたときの挙動をみる直線は約1.5kmあります。広さの目安でおなじみの東京ドームに換算すると、約3.2個分の広さに当たります。
他にも制動性能、排水性能、車外騒音、耐久性能、安全性能などの試験を行なうため、敷地内にはデコボコだったり、水を張れたりと、数十種類の状態の「道」が作られています。
取材に伺った時も、テストドライバーによる走行試験が行なわれており、テストコース内には数台の車両が走行。また別の建物では摩耗試験などのタイヤチェックが実施されていました。ちなみに摩耗試験では、1年間で160万km(地球約125周分)も走るそうです!!
試験車は軽自動車にミニバン、スポーツカー、大型トラックまで数十台がズラリ! 駐車場を見たところ…、ポルシェもありました!
なお、設立当時はここまでの規模ではなかったそうです。70年代に作られたテストコースゆえに、当時のモータリゼーションを意識したコースとなっていたとのこと。しかし高速道路が増え、一般道の道幅も広くなり、車もハイパワー&大型化していく世情に合わせて規模を拡大して、テストコースも拡張が進められたそうです。
普段は自社タイヤのテストを行なっていますが、日によっては宮崎県警の運転訓練やトーヨータイヤジャパン主催による自動車メーカー販売店・タイヤショップ・ガソリンスタンドの従業員の方などへの最新タイヤの体験会も行なわれています。これから売り出すタイヤがどこまでの性能を持っているのか、正しく知ってもらうための施策ということですね。
さて、トーヨータイヤには宮崎テストコースの他にも、北海道常呂郡佐呂間町にも冬タイヤテストコースがあります。宮崎では普通のタイヤ、サロマではスタッドレスタイヤの試験を行なうのかなと思っていたら、宮崎でもスタッドレスタイヤの試験を行なうんですって。なるほど、気温の高い地域や、降雪のないときの走行試験も重要ですよね。
宮崎といえば梅雨が長い地域です。雨のときはウェット路面のテストを行なう…と思いきや、これも違いました。タイヤのテストは、目標値となるタイヤに対してどのような性能が出せているかを見極めねばならないため、試験の条件(水深など)が一定とならない雨の日は基本的にテストを行なわないそうです。前述しましたが水を張れる路面や、脇にスプリンクラーを設置した道を使い、一定の環境を作り出してテストを繰り返します。
1つのテストにかける時間は約半日。何度も、何度も走り込んで、開発中のタイヤの性能を見極めていきます。
次回は実際にどのようなテストを行なっているのか、その実態に迫っていきます。お楽しみに!
連載記事