「初心者マーク(正式名称:初心運転者標識)」といえば、ドライバーなら誰もが一度は通る道。実はこれ以外にも、道路交通法で定められた表示標識はいくつか存在します。今回は、意外と知らない人も多い「初心者マーク以外の標識」についてご紹介します。
目次
まずは初心者マークをおさらい
ドライバーが自動車免許取得1年以内であることを示す「初心運転者標識」。昭和47年(1972年)に導入された標識で、黄色と緑色で塗られた矢羽根形が若葉のように見えることから「若葉マーク」と呼ばれたり、運転初心者が表示することから「初心者マーク」と呼ばれたりすることもあります。
対象者は、運転する車体の前面と後面の見やすい位置(地上0.4メートル以上1.2メートル以下)への表示が義務付けられており、表示しない場合は道路交通法違反となるので注意しましょう(反則金 4,000円、1点加点)。
新旧2種類の高齢運転者標識
70歳以上の高齢ドライバーで、加齢による身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼす可能性がある人に、努力義務として表示を推奨している「高齢運転者標識」。義務化はされておらず、表示しなかった場合の罰則もありません。以前は水滴型をした通称「もみじマーク」が使われていましたが、若葉マークと対照的に「枯葉に見える」などといった批判を受けて、2011年2月からは四つ葉クローバーにシニアのSを組み合わせたデザインの「四つ葉マーク」に変更されました。当分の間は変更前の旧標識も使用可能とのことです。
身体障害者標識(クローバー)
肢体不自由であることを理由に、運転免許に条件が付けられているドライバーを対象とした「身体障害者標識」。青地に白い四つ葉のクローバーがデザインされており、クローバーマークとも呼ばれています。高齢運転者標識と同じく表示は義務化されておらず、努力義務として推奨されています。
聴覚障害者標識(蝶)
政令で定められた程度の聴覚障害があることを理由に、運転免許に条件が付けられているドライバーを対象とした「聴覚障害者標識」。緑地に黄色い蝶のようなデザインに見えますが、実は2つの耳の形をモチーフにしたもの。こちらの標識は表示が義務化されています。当然ながらこの標識を表示しているドライバーはクラクションや走行音が聞こえにくいため、周囲のドライバーは必要に応じて徐行や減速などの配慮をする必要があります。
意外と知らない「マーク」のルール
最後に、標識にまつわるトリビアを2つ紹介します。
初心者マークを1年以上表示してもOK?
免許取得から1年間、表示が義務付けられている初心者マーク。期間内に表示しない場合は罰則がありますが、期間を過ぎたあと表示し続けても罰則はありません。「1年経ったけれどまだ運転に自信がない……」なんて方は、慣れるまで表示したままにしておくのもアリかもしれませんね。
標識の表示位置はどこでもOK?
「初心運転者標識(初心者マーク)」、「高齢運転者標識」、「身体障害者標識」、「聴覚障害者標識」は、いずれも「車体の前面と後面の両方」「地上0.4m以上、1.2m以下の見やすい位置」と表示位置が定められています。この範囲内であれば左右どちら側でも問題ありませんが、フロントガラスへの貼り付けはNG。運転中の視野を妨げないように、検査標章(車検ステッカー)など必要最低限のもの以外は貼り付けが認められていないのです(「道路運送車両の保安基準 第29条」など参照)。
なお、今回ご紹介した標識を表示した車両に「幅寄せ」や「割込み」をしてしまうと道路交通法違反となり、罰金(普通車6,000円)と1点加点(一般的によく「減点」と表現されますが、正しくは加点方式)の対象となります。標識の有無にかかわらずゆとりある運転を心がけたいものですが、今後見かけた際にはぜひ思い出してみてくださいね。