TOYO TIRES

2015年版カレンダー企画:空と道の写真を撮る写真家HABUさんにインタビュー(後編)

TOYO TIRES 2015年度カレンダー『ON THE ROAD 旅は自由 空に夢 道には希望。』は、空と道をメインテーマとして作成しました。カレンダーの写真は、空の風景をテーマに長年撮影を行っている写真家のHABUにご提供いただきました。今回は、HABUさんのインタビューの後編を掲載いたします。(前編はこちら

 

【5月】

HABU:これだけ唯一デジタルのデータなんです。僕は最後までフィルムを使い続けていたんで、デジタルを使い始めたのは3年前からなんです。勉強しながら、試行錯誤しながら。いまはもう100%、デジタルです。

広報:フィルムとデジタルはそんなにやっぱり違うものなんですか。

HABU:フィルムというのはどちらかというと、写っているかどうか現像してみるまで分からないじゃないですか。だから、どちらかというと気合で撮るんですよ。「写れ!」という。ところがデジタルというのはすぐ確認できちゃうじゃないですか。何か最近、写真が雑になってきたな。そんな気がしてしょうがないですね。

 

【6月】

HABU:この虹の写真がありますね。これは朝の虹なんです。虹のすぐ上にダブルレインボーがかかっているんですよね。これはタスマニアで撮ったんですが、気候的にはだいたい北海道と同じぐらいの感じで、ただ道を走っていると1日に何回も天気が変わるんです。これは実は2月なんですけれども、ちょうど走っていると急に雨が降ってきて、また雲が流れて晴れて、晴れると虹が出て、またしばらく走るとまた雨が降ってきて、そういう繰り返しで1日に何回も虹が、それもきれいなダブルレインボーを何回も見て、それは印象に残りました。ただ、ものすごく寒くて、テントを持っていきましたが、一度もテントを張らないで過ごしたくらい、結構厳しい旅でしたね。

 

【11月】

HABU:これもタスマニアですね。

広報:この写真、好きです。

HABU:これも逆にぶれているから、なんか動きが出て。

広報:こういうのを見ると車でどこかに行きたくなりますね。

HABU:オーストラリアは、特に日本と同じ左側なので、それでほとんど信号がありませんから、ずーっと真っすぐ、定規で引いたような道ばかりですから、運転をしていても楽ですしね。気持ちいいですよ。

 

【12月】

HABU:これもタスマニアだわ。これはなんか光に向かっていくみたいで。

広報:これは夕日ですか。

HABU:夕日です。

広報:夕日と朝日ってすごく色って違うものですか、空の色。

HABU:朝日のほうが、あっという間に色付くのが終わってしまうんですね。一瞬なんですね。夕方はだんだん色付いていきますよね。最後に沈む瞬間にピークになりますが、朝日というのは登る直前がピークで、登ったら一気に色がバンとついちゃいますから、だから朝の写真はわりと少ないんです、僕は。朝から狙っているというのはほとんどないですね。偶然、なんかトイレに起きたら、すごいことになったので撮ったとか、そういうのばかりですね。

 

【9月】

HABU:これはポプラですね。右端にある枯れ木、人があくびをしているように見えませんか?

空を撮っていると常に何かに見えるような気がしてしまうんです。クリオネに見えるとか。風景の中に、鳥が横切ったり、人が横切ったり、車が横切ったり、瞬間の偶然性を見つけると必ずシャッターを押すんです。そうすると本当に物語が生まれるんです。

 

広報:撮られる上でこだわりみたいなものはおありですか。

HABU:こだわりですか。あまり考えないことですね。僕は言葉と写真は全く別々に考えるので、写真を撮るときは何も考えない。とにかく自分が感動するようにして、感動君になりますね。写真の撮影に行っているときは。だいたいそういう写真は、見た人が「すごいね」と言ってくれる。自分が感動しないのに、人にそう思ってもらおうというのは無理な話ではないですか。だから何も考えない。ホテルとかテントの中に戻ってから、いろいろなこういう短い文章、気持ちとかを書き留めていますね。

 最初の頃は本当に自分探しの旅をしていた。撮っていくうちに、「自分がやりたいものはこういうものなんだ」と、だんだんに整理されていって、気がついたら空ばかりを撮っていたということですね。

 

HABU:空を撮るコツというのがあるんですよ。

 HABU:空を撮るときは、ホワイトバランスを必ず太陽光にするんです。ISO感度は200~400ぐらい。

ピクチャーモードは「風景」か「鮮やか」。マルチパターンで測光して、ブラケット設定はAEブラケット。

 ATブラケットで押しますと、露出の違う写真が3枚撮れるんですね、バシャッバシャッと。撮る場合は1コマずつやっていてもいいけれども、空の場合は白の面積によって露出がその都度変わりますでしょう。だからマニュアルで撮るのが一番いいんですが、AEを使わないで、青空で露出を測って撮るのがいいんですが、やっぱりとっさの場合は、だいたいマイナスのほうがいい場合が多いですね。色が乗ってくるので。そんな感じで撮ると空はよく撮れます。

 

 

インタビュー後編、いかがでしたでしょうか? HABUさんが写真を撮影する際にどのようなことを考えているのかといったことが分かる、興味深いインタビューでした。

TOYO TIRE 2015年度カレンダー『ON THE ROAD 旅は自由 空に夢 道には希望。』は、以下のキャンペーンサイトにて抽選で1300名様にプレゼントしています。ふるってご応募ください!

 

 

写真家・HABU プロフィール

羽部 恒雄(はぶつねお)

1955年東京生まれ。10年間のサラリーマン生活を経て写真家に転身。「空の風景」をテーマに世界各地を撮影、写真集・雑誌・写真展などで数多くの作品を発表している。代表作に「空の色」「雲を追いかけて」「夢にむかって」「空を巡る旅」(倍インターナショナル)、「誰の上にも空はある」(講談社)、「空のとびら」「雲の回廊」(PHP研究所)などがある。

<新刊>

「空は僕を誰とも比べない」2014年7月23日発売(PHP研究所)

<写真展>

開催期間:2015年4月4日~5月24日

開催場所:調布市たづくりホール