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タイヤメーカーが解説する「スタッドレスタイヤとは?」その2

冬専用タイヤのスタッドレスタイヤの基本を解説する「スタッドレスタイヤとは?」シリーズ。その1では、スタッドの意味やスタッドレスタイヤが誕生したいきさつを紹介しました。今回は、そもそもどんな仕組みで、どんな時に装着するものなのかを解説します!

スタッドレスタイヤは夏タイヤとは何が違うのか?

左がスタッドレス「Winter TRANPATH TX」、右が夏タイヤ「TRANPATH mpZ」

スタッドレスタイヤの通称は「冬タイヤ」、つまり冬専用のタイヤです。主に夏に使われるノーマルタイヤとの違いはどこにあるのでしょうか?

スタッドレスタイヤの素材となるゴムには、ノーマルタイヤに比べて柔らかいゴムが使われています。これはアイスバーンでの走行に照準を当て、マイナス20℃の低温下でもタイヤのしなやかさを保ち、凍結した路面にしっかりと密着させるためです。

また、スタッドレスタイヤの表面には凍結した路面の水膜を取り除くために、細かな切り込み「サイプ」が刻まれています。「水はけがいいのだから、雨に濡れた夏の路面でも同じように走れる」と思えるかもしれませんが、大間違い。ノーマルタイヤに比べると、スタッドレスタイヤはハイドロプレーニング性能とブレーキ性能が低下してしまうのです。

スタッドレスタイヤと夏タイヤの差は、冬の積雪・凍結した路面での性能に大きく現れます。JAFのテストによると、夏用タイヤを装着して積雪路・凍結路を走行した場合の制動距離(ブレーキをかけてから停止するまでの距離)は、スタッドレスタイヤと比べて約1.7倍になるという結果が出ています。

スタッドレスタイヤとチェーンの違いは?

それでは、同じ冬のドライブの安全を高めるアイテムであるチェーンとスタッドレスタイヤには、どのような違いがあるのでしょうか。

トーヨータイヤのスタッドレスタイヤは、タイヤに刻まれたサイプとNEO吸水カーボニックセルと持続性密着ゲルを配合した「吸着クルミゴム」という特殊なゴムによって凍結路面に生じる水の膜を取り除き、路面とタイヤを密着させます。さらにアスファルトよりも柔らかく、氷よりも硬い鬼クルミの殻を配合して路面をひっかくことにより、凍結路でも滑りにくくさせます。

一方、チェーンは金属製・ゴムやポリウレタンなど樹脂製、布でできたカバータイプのものなどさまざまな種類があります。金属製や樹脂製のものは「チェーン」という名前の通り鎖状で、チェーンの凹凸で力強く雪をひっかけて凍結路面とタイヤの間に摩擦を生じさせます。布製のカバータイプは、緊急用として開発されたもので長距離の走行には向いていません。

スタッドレスタイヤは「冬の基本装備」、チェーンは「規制時の必須アイテム」

「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識

2018年に発表された「チェーン規制」では、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出された際は、国道6区間、高速道路7区間全国13の指定区間を走行する場合にスタッドレスタイヤを装着した車両も含めて、すべての車にチェーンの装着が義務付けられています。また、高速道路で「チェーン装着車以外通行止め」の規制が出されている場合にもチェーンは必須アイテムになります。

つまり、チェーンが無くては走れないケースもあるのです。万が一、規制区間内をチェーンを装着せずに走行すると、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

使い勝手から見ると、雪道や凍結した路面を走るときには基本的にスタッドレスタイヤを使い、チェーンは豪雪地帯や大雪時の道路を通るときなど、いざというときのために備えておくもの。両者の違いを踏まえて、冬に積雪地帯をドライブする際は、適切に使い分けながら安全運転を心がけましょう。

タイヤメーカーが解説する「スタッドレスタイヤとは?」シリーズ、その1その3の記事も合わせてご覧いただくと、より役立ちます!