居眠り運転を防ぐには?眠気撃退法と罰則を知ろう
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- 2014.09.122022.03.02Update
クルマの運転中に睡魔に襲われた経験は、ドライバーなら誰しも一度はあるのではないでしょうか。ごくありふれた生理現象ではありますが、居眠り運転には重大な事故を引き起こすリスクがあるだけでなく、状況によっては免許取り消しなど厳しい処分を受けることもあります。今回は居眠り運転の原因や対策、罰則について詳しく解説します。
目次
居眠り運転を防ぐために
運転中に眠くなる原因は人によってさまざまですが、最も多いのが疲労や睡眠不足です。厚生労働省の『健康づくりのための睡眠指針2014』では、「睡眠時間が6時間未満の者では7時間の者と比べて居眠り運転の頻度が高い」というデータが示されています。
忙しい日々のなかでは難しいかもしれませんが、日頃から十分な睡眠時間を確保して疲れを取ることが大切です。長時間眠ったつもりでも日中強い眠気を感じる場合は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が潜んでいる可能性もあるので、不安な方は医師にご相談ください。
また、居眠り運転による事故は「夜中〜早朝」と「14時〜16時」と道路が比較的すいている時間帯に多発しているという特徴があり、これには人間の生体リズムが関係しているといわれています。
人間には24時間周期の「サーカディアンリズム(概日リズム)」、12時間周期の「サーカセミディアンリズム」、そして2時間周期の「ウルトラディアンリズム」の3つのリズムがあり、一定時間ごとに眠気が起こります。夜中~早朝と午後の時間帯は眠くなりやすいとあらかじめ理解したうえで、運転計画を立てるのも手です。
さらに花粉症や風邪などの症状をおさえる薬には、眠気を引き起こす副作用が生じるものもあるので服用のタイミングには注意が必要です。
運転中に注意したい居眠り運転の兆候とは
居眠り運転の前段階にみられる危険な状態が、「覚低走行(かくていそうこう)」です。覚低走行とは、自分では眠気を感じていなくても、居眠り運転とほぼ同程度まで注意力や集中力が低下している状態のこと。
一見すると目は開いていて、ほとんどの場合2~3秒間で通常の走行に戻るため、自覚しづらいのが怖いところです。標識や信号を見落としたり、車間距離を詰め過ぎていたり、注意力が落ちてきたと感じたらすみやかに休息を取りましょう。
覚低走行は、高速道路の長時間運転など単調な走行で発生しやすくなるといわれています。運転中は視線が一点に集中しないように、スピードメーターやサイドミラーなどを確認して視線を動かしたり、窓を少し開けたりするなどして、脳に刺激を与えるように意識してみてください。
居眠り運転を予防する眠気覚まし方法
心地よい気温でのロングドライブは、ウトウトと眠気を誘いがち。単調な運転操作で走れてしまうカーブの少ない高速道路は、また眠気が…くる…んですよね…。ああ、まだ次のサービスエリアまで15分以上あるのか…。と、眠い目をこする前に、ちょっとしたコツで当面の眠気を覚ます、「運転席ですぐに使えるテクニック」を覚えておきましょう。
カフェインを摂取する
定番中の定番。コーヒーや濃いお茶、濃縮カフェインドリンク、などで、カフェインを摂取すると、中枢神経が興奮し、スッと頭がさえて眠気を防げます。
文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、コーヒー100mlに含まれるカフェインは約60mg。コーヒー以外でも、飲料100mlあたりのカフェイン量は、玉露のお茶で約160mg、紅茶で約30mgとのこと。コンビニで買える栄養ドリンクにも、カフェインが含まれています(1本あたり50mg程度)。
カフェインを一気に摂取すると頭痛がするという人は、少しずつ摂取量を調整しながら飲んで、眠気を覚ますのがいいでしょう。ロングドライブが予想されるときは、カフェイン入りのドリンクをあらかじめ1本買っておくと、安心です。
また、カフェイン入りのガムなら噛むことで脳の血流が増え、覚醒水準の低下を防止してくれるので一石二鳥ですよ。
洗顔シートで顔を拭く
洗顔シートに含まれるメントールが、肌にヒンヤリとした感覚をもたらし、冷水で顔を洗ったような気分に。また、鼻に抜けるスーッとした刺激が、眠気を覚ましてくれます。これもコンビニ等で手軽に買えるアイテム。
ドライブ用に1パック用意しておけば、渋滞にはまってあくびが止まらなくなったときにも、サッと取り出して目元・鼻元を覆って顔を拭けば、気分もリフレッシュ。
より強力に眠気を覚ましたいときには、鼻の粘膜を傷めない程度に、顔を拭きながら鼻呼吸をすると、鼻腔がスーッとして頭もすっきりしますよ。
深呼吸する
眠くなるとあくびが出てしまうものですが、あくびが出る原因を知っていますか?
その一説は「脳へ酸素を送り込むため」。強制的にあくびをすることで、深く呼吸をして、血液を通じて脳に酸素が行くようにする、という説があるのです。ということは、意識的に深呼吸をすることで、脳へ酸素を送り込むようにすると、眠気の防止に一役買えそうです。
座りながら深呼吸を行うには、背筋を反らせて胸を広げ、ゆっくりと吸い込み、ゆっくりと吐き出しましょう。いつもの呼吸よりも長くなるよう意識するのと同時に、軽く肩を回したり、足を動かしたりして、座ったままで滞りがちな血行を促進すると、より眠気対策として効果的に。
大声で歌う
深呼吸に近いですが、これもオススメです。同乗者と一緒に大声で歌うと、呼吸の回数が増えるのと同時に、耳からの音声刺激によって、意識がはっきりとしてきます。
ポイントは、大好きな楽曲を大声で歌うこと。気持ちよく歌い切るほど、すっきり感も増し、眠気も吹き飛んでしまいますよ。
ただし、若干体力を使うため、歌い終えたあとに急に眠気が来るのを防ぐべく、休憩を取りましょう。SAやPAへのラストスパートをかけるときの「必殺技」として使うのがよさそうです。
仮眠を取る
クルマを止められるところがあれば、最強の眠気対策、仮眠を取ってしまいましょう。眠気を我慢しながら速度を落として運転するよりも、短時間の仮眠を取って運転する方が安全。
短時間で深く眠るコツは、耳栓とアイマスクで、外からの刺激をシャットアウトすること。体を伸ばしたリラックスした状態で、スマホやケータイの目覚まし時計機能を使って、10分から15分のナップタイム(昼寝タイム)を設定します。ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンがあれば、外界の音をシャットアウトしつつ、アラーム音を確実に耳に届けてくれるので、強制的に目覚められますよ。30分以上の仮眠はかえって目覚めづらくなってしまうのでご注意ください。
仮眠後は、脳はすっきりと覚醒しているつもりでも体が追いついていないこともあります。目覚めたらすぐに運転せず、新鮮な空気を吸いながら軽くストレッチをするのもおオススメです。
居眠り運転の罰金と点数
それではもし眠気に耐えられず居眠り運転をしてしまったら、どのような処分を受けることになるのでしょうか。実は「居眠り運転」というのは法律上明確に定義されているものではありませんが、一般的には以下の2つの違反に分かれます。
安全運転義務違反
多くの場合は「安全運転義務違反」とみなされます。道路交通法第70条には(安全運転の義務)として、以下のように規定されています。
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
道路交通法 第70条
居眠りによって安全運転の義務を怠ると、「違反点数2点」「9,000円の反則金(※普通車の場合)」が科せられます。この反則金を納めないと「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」の対象になるほか、居眠り運転が原因で交通事故を起こした場合はさらに重い処分を受ける可能性があります。
過労運転
また、過労などが原因で「正常な運転ができないおそれがある状態」と判断された場合は、「過労運転」とみなされます。道路交通法第66条には(過労運転等の禁止)として、以下のように規定されています。
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
道路交通法 第66条
過労運転はさらに重く、「違反点数25点(一発免許取り消し)」に加えて「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。
まとめ
居眠り運転による交通事故は、ブレーキやハンドル操作といった危機回避をせずに衝突するため、他の要因よりも死亡事故につながりやすいのも特徴です。死亡重症率を比較すると、一般道で3倍以上、高速道路では4倍以上にも上ります。
運転中どうしても眠くなってしまったときは、無理せず安全な場所に停車して、早めの休憩を。上でご紹介した眠気覚まし法もぜひ活用してみてくださいね。