TOYO TIRES

追い越し車線を走り続けるのは違反!追い越し車線を正しく使おう

高速道路に設けられている「追い越し車線」は、正しく通行すればスムーズな運転に役立ちますが、使い方を間違えると違反に問われることもあります。今回の記事では、高速道路の追い越し車線の正しい使い方について詳しく解説します。

追い越し車線を走り続けるのは違反!

高速道路での追い越しが終わった後、元の車線に戻らずにそのまま追い越し車線を走り続けることは違反になります。違反となる理由を以下に詳しく説明します。

なぜ違反になるのか

道路交通法第20条3項では、車両通行帯の通行と追い越しのルールについて以下のように定められています。

(車両通行帯)


第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。


2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。


3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。


(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第三項)

片側2車線の道路では原則左側の車両通行帯を通行し、3車線以上の道路では最も右側以外のいずれかの車両通行帯を通行することとなっています。そして追い越しをおこなう際は、最も右側の車両通行帯を通行することとなります。

このように追い越し車線は一時的に通行するための車線のため、追い越し車線となっている右側車線を長距離にわたって走り続ける行為は「車両通行帯違反」として取り締まりの対象となるので注意が必要です。追い越しが終わったら、追い越した車両との車間距離を十分にとったうえですみやかに元の走行車線に戻りましょう。

ただし首都高速など、右側にも出入り口が多いなどの理由で追い越し車線を設定していない場所もあります。上のルールは原則としたうえで、各道路の標示や標識に従うようにしてください。

車両通行帯違反の取り締まり状況

内閣府が公開している「令和5年版交通安全白書」によると、2022年に高速道路で車両通行帯違反が検挙された数は5万7011件。全体の14.7%で、最高速度違反(スピード違反)に次いで2番目に多い検挙数となっています。

車両通行帯違反の罰則と反則金

車両通行帯違反の違反点数は1点、反則金は大型車の場合7000円、普通車・二輪車の場合6,000円、小型特殊車・原付車の場合5,000円が科されます(※小型特殊車・原付車は高速道路以外で適用)。さらに反則金を支払わなかった場合は5万円以下の罰金に処される可能性もあるのでご注意ください(道路交通法第120条)。

追い越し車線の正しい使い方

上にご紹介したように、高速道路で「車両通行帯違反」として検挙されるケースは少なくありません。取り締まりを受けないように、ここで追い越し車線の通行ルールをおさらいしておきましょう。

追い越し車線の利用が認められる条件

追い越し車線は「追い越しをするとき」のほかに、「道路標識や道路標示により通行区分が指定されているとき」「進路の変更の禁止に従ってそのまま通行するとき」「接近してきた緊急自動車に一時進路を譲るとき」「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき(※)」などの条件で通行が認められています。このような場合を除いては、常に空けておくようにしましょう。

※「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」とは、通行すべき車両通行帯が損壊や道路工事などのために通行できなかったり、元の車両通行帯が混雑していて戻れなかったりする場合などを指します。

なお、追い越しをする際は追い越したい車両の「すぐ右側の車両通行帯」を通行するのがルールです。左側からの追い越しや、制限速度を超えたスピードでの追い越しは危険なので絶対にやめましょう。

意外と知らない高速道路での違反行為

高速道路で取り締まりの対象となるのは、「車両通行帯違反」だけではありません。最後に、意外と知らない高速道路での違反行為を5つピックアップしてご紹介します。

最低速度違反

高速道路の本線車道における法定最高速度は最高100km/h(大型貨物車、トレーラーなどは80km/h)となっていますが、反対にノロノロ運転も危険になるため最低速度も50km/hと決められています。最低速度違反の罰則は違反点数1点・反則金が6,000円となっています(普通車の場合)。

高速自動車国道等運転者遵守事項違反

高速走行中は風圧で荷物が転落・飛散しやすくなるうえに、周囲のクルマもスピードを出しているので落下物の回避が難しくなります。そのため、高速道路では運転手に積み荷の固定や点検が義務付けられています。この点検を怠って落下させたり路上で停止したりした場合は「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となり、違反点数2点・反則金9,000円が課せられます(普通車の場合)。

車間距離不保持違反

道路交通法第26条では「車間距離の保持」として、先行車が急停止しても追突を避けられる車間距離を保つことが定められています。適切な車間距離を保たないと、一般道では「車間距離不保持違反」として違反点数1点と反則金6,000円、高速道路では「高速自動車国道等車間距離不保持違反」として違反点数2点と反則金9,000円がそれぞれ課せられます(いずれも普通車の場合)。

駐停車違反

高速道路上では、「危険防止のため一時停止するとき」「故障などのため十分な幅のある路肩や路側帯にやむを得ず駐停車するとき」「料金の支払いのため停車するとき」などの場合を除いて駐停車が禁止されています。違反した場合は「駐停車違反」として、違反点数2点・反則金12,000円が課せられます(普通車の場合)。

左車線からの追い越し

上でもご紹介したとおり、追い越しをする際は追い越したい車両の「すぐ右側の車両通行帯」を通行するのがルールです。左側からの追い越しは「追い越し違反」として、違反点数2点・反則金9,000円の対象となるので注意しましょう。

まとめ

クルマの流れが速い高速道路でのトラブルは重大事故につながりやすいため、細かいルールが定められています。特に追い越しの違反は事故の原因となるだけでなく、「あおり運転」と見なされることもあるので十分に気をつけたいところです。