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クルマのパッシングとは?使用方法と注意点を解説

クルマのヘッドライトといえば、暗い夜道やトンネル内などを明るく照らしてくれる頼もしい存在です。時にはドライバー同士のコミュニケーションツールとして使われることもあります。この記事では、「パッシング」の方法と注意したいポイントについて解説します。

パッシングとは?

ヘッドライトのハイビームを素早く点滅させて前方へ合図を送ることを「パッシング」といいます。これは道路交通法で定義されているものではなく、ドライバー同士のコミュニケーションとして自然に発生したもので、暗黙の了解として使われている手段です。

パッシングは一般的に、ウィンカーレバー(ヘッドライトスイッチレバー)を手前に引くことで行われます。車種によって操作が異なる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

パッシングがよく使われるシーン

パッシングがよく使われるのは、対向車とコミュニケーションをとりたいときや、表情や手の合図がわかりづらい夜間などです。クルマ同士のコミュニケーションを考察した研究によれば、日中よりも夜間のほうがパッシングを使う確率が上がるそうです。

パッシングの意味

使用場面やタイミングによって、さまざまな意味をもつパッシング。お礼であることもあれば危険を知らせる警告であることもあるので、もしも運転中に対向車や後続車からパッシングされたら、その意味をとっさに判断する必要があります。パッシングが示す意味をいくつかご紹介します。

お礼や感謝を伝える

道を譲ってもらったときなどに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える合図です。パッシングの中で最も多くみられるパターンです。

相手に道を譲る気持ちを伝える

「お先にどうぞ」と道を譲る合図。交差点での右折時や合流時などに対向車からパッシングされた場合は、この意味である可能性が高いです。場合によっては「先に行きます」という意図に取られる可能性もあるため、パッシングの合図だけではなくアイコンタクトや譲る手ぶりなどを併用して、譲る気持ちを正しく伝えられるようにしましょう。なお、高速道路などの追い越し車線で後続車からパッシングされた場合は、「先に行かせてください」という合図であることが多いようです。

危険や異変を伝える

走行中には、ライトのつけ忘れや消し忘れ、トランクが開いているなどの異変を教える合図としても使われます。

不快感や抗議の意を伝える

「ハイビームがまぶしい」など、不快感を表すときにもパッシングが使われます。

バスやタクシーが緊急事態を伝える

バスジャックや強盗など、車内での緊急事態を周囲に知らせるために使われる場合もあります。

パッシングされたときの注意

パッシングは基本的に親切な意味で使われることがほとんどですが、パッシングをされたときは念のため自分のクルマに問題がないか確認しておきましょう。昼間であれば、相手ドライバーとのアイコンタクトやボディーランゲージを併用することで、意思疎通が図りやすくなります。もしも否定的な意味であったとしても、逆上せず冷静に対処することが大切です。

パッシングをするときの注意

また、自分からパッシングをするときには以下のポイントに注意しましょう。

パッシングの意味を間違えるとトラブルになる

関東では「お先にどうぞ」、関西では「道を譲って」といったように、パッシングは地域によって使われ方が異なる場合があります。意味を間違えると追突事故などを起こしかねないので、パッシングだけに頼らず、アイコンタクトや身ぶり手ぶりも使って相手ドライバーとコミュニケーションをとるようにしましょう。

しつこくするとあおり運転と勘違いされる

パッシングのやり方は、ヘッドライトを1~2回素早く点灯させるのが一般的です。先に行きたいからといって過剰なパッシングで相手の視界を奪ったり車間距離を詰めたりしていると、あおり運転と見なされて「安全運転義務違反(道路交通法第70条)」や「車間距離不保持義務違反(道路交通法第26条)」に問われる可能性もあります。誤解を生まないよう、執拗なパッシングは避けましょう。

まとめ

今回ご紹介したパッシング以外に、ハザードやクラクションなどもコミュニケーションツールとして使われますが、パッシングの使い方は法律で明確に定義されているわけではありません。「お先にどうぞ」や「ありがとう」の気持ちを伝えるためにパッシングしたつもりが、状況によっては全く逆の意味で受け取られてしまう場合もあります。上にもご紹介したように、正しい意思を伝えるためにはパッシングだけでなくアイコンタクトも併用することが大切です。